研究課題/領域番号 |
25380260
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐藤 公俊 長岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00178716)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 福祉国家 / 社会経済学 / 社会進化 |
研究概要 |
今年度は、ビアトリス・ウェッブの福祉経済学の形成過程について、ビアトリス・ポッタ―時代の社会経済学の原型の形成と進化主義と社会経済政策論への移行について検討した。その概要を、2013年10月に開催された経済理論学会にて報告した。その後、以下の論文を作成した。2014年5月に社会理論学会の『社会理論研究』に投稿する予定である。その論文のタイトルは、「ビアトリス・ポッター(・ウェッブ)の経済学研究の1886年の展開」である。それは、ビアトリスのほとんど研究されてこなかった1886年の経済学研究の方法と変化を明らかにし、その意味を検討するものである。論文の概要を以下に示す。 ビアトリスは、1886年8月に執筆した未刊の手書き草稿「イギリス経済学の歴史」において、マーシャルが「経済学の現状」で述べた貨幣タームでの把握を参照して、演繹的に「真の経済科学」を提起した。彼女は、つながる人間関係を社会的本質とし、その人間関係における欲望と能力が経済的な欲望と能力であるとし、それらのつながりが交換価値関係として現れるとして、これらの経済現象を①心理的・②物質的・③心理的/物質的の三層で表現する経済学の新構想を提起した。 1886年10月のビアトリスとスペンサーとの「論争」では、彼女は、「イギリス経済学の歴史」へのスペンサーからの批判に反論して、自由主義的な社会学的経済学から集合主義的な社会科学的政策論と社会進化論の立場へ移行し、スペンサーから自立した。 ビアトリスの1886年の経済学の方法の変化は,対象を貨幣的現象にしぼり、人間の本質・原理が現象する社会学的経済学を示し、その後、個人主義的に各社会領域間の現象の関係を論ずる社会科学的な政策論の方法に移行したことである。また、それが集合主義的経済学の出発点となり、後の彼女の集団同士の集合的で進化的な福祉経済学へと展開したのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はビアトリス・ウェッブの福祉経済学の形成過程について、ビアトリス・ウェッブの結婚前のビアトリス・ポッタ―時代の1886年における社会経済学の原型の形成と進化主義と社会経済政策論による自立をおおむね確認できた。その概要を、2013年10月に開催された経済理論学会にて報告した。その後、それを「ビアトリス・ポッター(・ウェッブ)の経済学研究の1886年の展開」という論文に作成した。2014年5月に社会理論学会の『社会理論研究』に投稿する予定である。 ただし、アメリカ合衆国インディアナ州のニューハーモニー村でオウエン主義のアメリカ伝搬の歴史調査が実施できず、次年度に実施することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
ビアトリス・ウェッブの福祉経済学の形成過程について、前年度では、ビアトリス・ポッタ―の1886年における社会経済学の原型の形成と進化主義と社会経済政策論での自立をおおむね確認した。今年度は、1887年のビアトリス・ポッタ―のマルクス価値論批判の検討に移り、青年期のビアトリスの社会経済学構想を把握する。 東京で主催する研究会において、1887年のビアトリス・ポッタ―のマルクス価値論批判の概要を報告する。それを2014年10月に開催される経済理論学会にて報告する予定である。 アメリカ合衆国インディアナ州のニューハーモニー村でオウエン主義のアメリカ伝搬の歴史を調査する予定である。これは、前年度の実施予定であった調査を今年度に実施するものである。
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次年度の研究費の使用計画 |
アメリカ合衆国インディアナ州のニューハーモニー村でオウエン主義のアメリカ伝搬の歴史の調査旅行を次年度に延期したため、次年度使用額が発生した。 次年度使用額は、アメリカ合衆国インディアナ州のニューハーモニー村でオウエン主義のアメリカ伝搬の歴史を調査する予定で、そのための旅費として使用する計画である。
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