研究課題/領域番号 |
25380265
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
椎名 洋 信州大学, 学術研究院社会科学系, 教授 (80242709)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 最尤推定量 / 漸近展開 / アルファ―ダイバージェンス / リスク / 標本数 |
研究実績の概要 |
前年度までに得られた一般的な結果を、個別の統計的問題に適用した。 <前年度までに得られた一般的な結果>アルファーダイバージェンスに関する最尤推定量のリスクの、標本数に関する二次の項までの漸近展開 <28年度の結果>1)回帰モデルに上の一般的な結果を当てはめた場合の結果。誤差項分布(但し、サポートが実軸全体であるものに限る)を与えた場合の一般的な結果は、大変複雑なので、Mathematicaによるプログラミングを与えた。さらに具体的な誤差項分布として、標準正規分布、自由度3のt分布、歪度3の歪正規分布の三つを考察した。また、説明変数が並べ替えに関して不変な場合を考えて、説明変数のモーメント(四次まで登場する。但し、一次、二次のモーメントは標準化されている。)とその次元の明示的な関数として、最尤推定量のアルファ―ダイバージェンスに関するリスクの漸近展開を、上の三つの具体的な誤差項分布の場合にもとめた。さらに具体的な説明変数の分布として、多変量標準正規分布・多変量t分布・コントロールされた二値分布・パレート分布の四つの場合を考えて、さらに具体的な結果を導いた。2)標本数二次までの漸近展開を近似公式として使い、推定に必要な標本数を与えるやり方を提案した。具体的には、二項分布を基準として使い、以下の二つの指標を提案した。ア)同一の「モデルの次数/標本数」を持つように設定した回帰分布と二項分布で、前者が後者と同等のリスクを持つにはどれくらいの標本数が必要か(I.D.E.)、イ)正常なコインのトス(トスの回数は固定)と同等のリスクを持つには、回帰モデルでどの程度の標本数が必要か(R.S.S.)。3)具体的なデータに関する例として、著名なワインの化学データとUSA各都市の犯罪データの二つから、説明変数のモーメントを借用して、上記1)と2)について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論的な研究結果は、着実に得られており、成果の公表段階にいたっている。特に、28年度に新しく得られた回帰モデルのリスクに関する結果は、雑誌への投稿を現在行っている段階である。また、これとは別に新たな具体的な課題(連続分布の離散分布による効率的な近似)についても、具体的な成果が得られつつあり、こちらも順次論文としてまとめて、論文に投稿していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)新たな具体的な課題(連続分布の離散分布による効率的な近似)について、論文としてまとめて、雑誌に投稿していく予定である。 2)28年度に得られた回帰モデルのリスクに関する結果を、投稿雑誌のレフリーとのやりとりの中でさらに精緻化させていく予定である。 3)25・26年度中に得られたアイデアのうち、すでに具体的な結果が得られている課題(条件付き多変量分布の、条件に関する漸近論)については、これを論文としてまとめる予定である。
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