研究概要 |
本研究課題「高次モーメントの相互依存関係に関する計量分析」に関する研究プロジェクトは、欧米においても現在精力的に研究が進められている分野であるが、日本国内においては必ずしも十分な研究の蓄積があるとはいえない。そこで、平成25年度は、本研究プロジェクトの初年度に当たり、「この計量分析手法について研究を進め、論文の執筆を行った。その結果、研究は当初の予定より速いペースで研究が進んでおり、初年度の研究成果として、3本の論文を海外の査読付き学術専門誌(Applied Financial Economics, Journal of Reviews on Global Economics, Transition Studies Review)から出版することができた。この研究成果から得られた新たな知見は以下のとおりである。 (1)GARCH-copulaモデルを用いた分析により、先進国と新興諸国の株式市場の間には、非対称な依存構造(dependence structure)があること、また、新興諸国の市場は先進国の下方リスクに対して敏感に反応する、が明らかとなった(Applied Financial Economics)。 (2)CCFアプローチを用いた分析により、為替市場、株式市場、商品市場の3市場の依存関係に関して、日本は比較的大きいが、韓国では比較的小さく、台湾ではほとんど見出されないこと、等が明らかとなった(Journal of Reviews on Global Economics) (3)ADCCモデルを用いた分析により、ドイツとCEEC3諸国の債券市場の間の依存関係は世界金融危機の時期に減少したこと、また、ドイツとCEEC3諸国の統合の程度は国によっても異なること、等が明らかとなった(Transition Studies Review)。
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