研究課題/領域番号 |
25380271
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
浅井 学 創価大学, 経済学部, 教授 (90319484)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 実現共分散 / 非対称性 / 長期記憶性 / 予測 |
研究実績の概要 |
金融資産の分析で近年注目を集めているのが、実現ボラティリティの分野である。本研究では、これを多変量に拡張した「実現共分散」を扱う。本研究の目的は、大きく2つに分けられる。すなわち実現共分散のデータを用いて、(i) オプション価格評価への応用を目的として、Gourieroux (2006)の連続時間ウィッシャート自己回帰モデルを拡張し、長期記憶性を取り入れたモデルを分析し、 (ii) 連続時間または離散時間の枠組みで、長期記憶性・非対称性・動的相関関数行列の特性を取り入れたモデルを分析する。この研究の特色は、実現共分散のデータをモデル化する際に、長期記憶性と非対称性を取り入れることにある。 平成26年度は、前年度に考案した連続時間・長期記憶型・多変量SVモデルについて、様々な推定方法を検討した。採用したのは、第1段階でローカル・ウイットル推定量で長期記憶性に関する未知パラメータを推定し、第2段階では残りのパラメータを一般化モーメント法により推定するものである。モンテカルロ実験の結果、この推定量は、実用に耐えうるパフォーマンスをもつことが明らかになった。さらに実証分析を行い、論文にまとめて学術誌に投稿した。 オプション評価方法については、上記の一般化モーメント法のモーメント条件の導出に用いたラプラス変換を使えば、高速フーリエ変換で計算できることがわかった。 また同時並行で、動的相関係数のモデルを検討した。Asai and So (2010)のアイデアをベースにしながらも、正方行列の指数関数を使って、非対称性と長期記憶性を持つ新たな動的相関係数のモデルを考案した。モンテカルロ実験を行った結果、推定量のパフォーマンスがよいことが明らかになった。さらに実証分析を行い、論文にまとめて学術誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に掲げた目標は、予定通りに達成している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、進めていく。ただ、他の研究者も関心をもっている分野なので、できる限り早く論文を完成させたい。
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