研究課題/領域番号 |
25380275
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中島 賢太郎 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60507698)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 産業集積 / ネットワーク / 生産性 / 知識交換 |
研究概要 |
今年度は、まず事業所間の共同研究ネットワークの地理的集積についての研究を行った。日本における特許発明者の所属事業所を対象とし、その住所情報、さらにその事業所が所属する企業情報を用いた分析の結果、特許発明に関する事業所間共同研究関係は、そもそも事業所そのものが地理的に集積している効果を制御した上でも、統計的に有意に集積していること、また、その範囲が日本の産業集積の範囲ときわめてよく似ていること、共同研究関係の地理的集積は近年のICTの発展にもかかわらず、ここ20年で傾向にほとんど変化がないこと、および、企業間共同研究関係は企業内共同研究関係に比べてより強く集積していることなどが示された。また、今年度は同時に企業間ネットワークデータを用いた分析も行った。まず企業間取引ネットワークが企業の海外進出行動に与える影響についての理論的・実証的分析を行った。ここで、企業の海外進出行動と取引ネットワークとの関係について理論的整理を進めた上で、実際のデータを用いてその理論的含意を示した。さらに、取引ネットワークについての研究として、企業間の取引ネットワーク形成に、地理的距離が果たす役割についての実証的研究を行い、地理的距離の近さが取引ネットワーク形成を促進することなどを示した。また、そのほかに、事業所間の地理的ネットワークについて、高生産性事業所との地理的距離が生産性上昇に影響していることや、集積地内における事業所間の関係において、取引ネットワークや、知的ネットワークのような正の外部性をもたらす要素以外に、競争を促進することで企業淘汰を生じさせる効果について、理論および実証的な結果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事業所、企業のネットワークと集積の経済について、取引・知的・労働という多角的視野からの分析を行うことが研究目的であったが、知的ネットワークおよび取引ネットワークという複数の観点からの成果が出ており、研究目的について着実に成果が出ていると評価できるため。
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今後の研究の推進方策 |
知的ネットワーク、取引ネットワークについて一定の成果が出ているが、未だ理論・実証共に頑健性や妥当性の面で不十分な点がある。今後はまずこれらの知的ネットワーク、取引ネットワークについてのより深い分析を行う。また、並行して労働ネットワークについての分析を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していたデータ・備品の購入計画が遅れたため。 翌年度以降のデータ・備品の購入に使用する予定である。
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