研究課題/領域番号 |
25380282
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
根本 敏則 一橋大学, 商学研究科, 教授 (90156167)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 対距離課金 / 財源調達 / 交通需要管理 / 損傷者負担 |
研究実績の概要 |
平成26年度においては道路の費用構造に関する検討を行った。その際に、道路施設・整備別の耐用年数を仮定し、現道路資産を過去の道路整備費で説明する方法を検討した。たとえば、維持管理費は、国及び地方自治体の協力を得て道路種別ごとにケーススタディ地点を選び、道路資産が増加する支出と狭義の維持管理のための支出に峻別する方法を検討した。また、混雑費用に関しては、高速道路、一般道路の多くの観測地点において実測され利用可能となっているQ-V式を活用した。加えて、大型車の責任負担額の推計は、利用者負担額を車種・道路種・地域別に試算したうえで、現行負担額との比較、燃費との関係、年間走行距離との関係といった観点から推計を行った。 また、対距離課金、整備財源制度に関するサーベイも引き続き実施した。具体的には、一橋大学、国土技術総合研究所、日本交通政策研究会などにあるデータベースや文献資料を活用しながら、ドイツのGPSと携帯電話通信を活用した高速道路対距離課金、スイスにおけるDSRC、タコグラフを活用した大型車対距離課金、フランスのエコタックスなどの事例を中心にサーベイを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、道路施設・整備別の耐用年数を仮定し、現道路資産を過去の道路整備費で説明する方法にて、道路の費用構造および大型車の責任負担額の推計を行うことができた。 また、対距離課金、整備財源制度に関するサーベイも引き続き実施し、海外の大型車対距離課金施策についてのオペレーションと理論について確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
費用および負担データを用いて、被説明変数として短期平均費用および短期限界費用、説明変数として交通量(需要)、道路容量(供給)およびその他の諸要因を用いた関数の推計を試みる。短期平均費用関数の包絡線に基づき、長期的な平均費用関数の推計を実施する。 くわえて、大型車対距離課金による道路整備のシミュレーション分析も行う。その際には、「地域ごと」、「車種ごと」、「道路種別ごと」、「世代ごと」、「人口減少により交通需要が減る場合の影響」、「道路サービスの規模の経済性、不経済性を仮定した上でのその影響」といった理論的枠組みでのシミュレーション分析を実施する。これらの分析に基づき、社会的に望ましい幹線道路計画のあり方を検討する。以上、実施してきた研究内容に基づき、課税制度、対距離課金制度、道路計画制度に関する提案を行い、研究のまとめとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた海外での研究発表の日程が本務の教育指導と重なったため、繰越が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度の繰越金と併せて、最終年度として3年間の研究成果の公開を行う。
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