研究課題/領域番号 |
25380283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
奥田 英信 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00233461)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カンボジア / 銀行業 / 経営効率性 / DEA / ドル化 |
研究概要 |
平成25年度は、3年計画の初年度として、研究計画に基づき次のことを行った。 (1) ノンパラメトリック分析についての現地での意見交換:暫定的計量分析結果について、JICAミッションの一員としてプノンペンを訪問し、カンボジア中央銀行(NBC)、国際通貨基金(IMF)、シンクタンク(CDRI)と意見交換を行った。これらの面談を通じて、カンボジア金融制度の現状と銀行セクターの問題点および政策課題について情報を収集した。 (2) カンボジア個別銀行のミクロデータベースの厳密化:上記(1)を通じてカンボジア政府当局の支援により、商業銀行の各行の詳細な財務データを入手した。このデータを利用して、これまでの分析で利用してきた既存の商業データベース(Bankscope)との整合性と厳密性を確認し、計量分析に当ってのデータの精緻化を行った。 (3)ノンパラメトリック分析の発表:現地調査を踏まえて「カンボジア主要金融機関の経営特性:DEAによる効率性と技術変化の分析」(チア・ポーレンとの共著)を『一橋経済学』に掲載した。新たに、DEAを利用した回帰分析手法の改良し、「カンボジア銀行業の効率性の決定要因: 2段階DEAによる効率性の計測」(相場大樹と共著)として日本金融学会(名古屋大学、2013年9月11日)で報告した。また研究の背景となるカンボジア金融制度の形成課程について「カンボジア経済のドル化と銀行経営:制度分析的アプローチ」としてアジア政経学会(大阪市立大学、2013年11月9日)で報告を行い、「カンボジアのドル化と経済発展」岸・黒田・御船編著(2014)『グローバル下の地域金融』中央大学企業研究所研究叢書35として論文に纏めた。 (4)政策提言:上記の成果をもとに、「カンボジアのドル化:論点整理と政策課題」としてアジア諸国との金融協力等に関する専門部会(財務省審議会)で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画としていた3項目、即ち、(1) ノンパラメトリック分析についての現地での意見交換、(2) カンボジア個別銀行のミクロデータベースの厳密化、(3)ノンパラメトリック分析の発表、の全てについて計画通りの成果を達成した。 さらに、カンボジア銀行業の分析には不可欠の「ドル化」現象についても、「カンボジア経済のドル化と銀行経営:制度分析的アプローチとして学会報告(アジア政経学会、大阪市立大学、2013年11月9日)を行い、「カンボジアのドル化と経済発展」として学術出版物に寄稿した。 また、現地調査の結果を、「カンボジアのドル化:論点整理と政策課題」としてアジア諸国との金融協力等に関する専門部会(財務省審議会)で報告し、政策提言に資することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従って、次の通りに研究を進める。 平成26年度には、(1) パラメトリック分析(Stochastic Frontier生産関数を利用したパラメトリック分析)、(2) 東南アジア現地調査(パラメトリック分析の暫定結果についての現地での意見交換と、関連する政策課題についての情報収集)、(3)パラメトリック分析の発表((1)と(2)を踏まえ、Stochastic Frontierを利用した回帰分析の論文作成、学会等の報告と、学会誌への投稿を行う)を行う。 また、平成27年度には、研究成果の全体を取り纏め、学会誌投稿などのフォローアップを行う。
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