平成27年度は、3年計画の最終年度として、次のことを行った。 1.研究成果の発表:(1)学術雑誌への掲載、等:カンボジア金融機関の経営効率性とその決定要因に関する論文が、Emerging Market Finance and Tradeに掲載された(on-lineで2015年12月、in printでは2016年6月に掲載予定)。フィリピンと比較したカンボジアのマイクロ金融機関の経営効率の特徴について、一橋大学大学院経済学研究科のDiscussion Paper No. 2016-03を作成した。 (2)学会報告:カンボジアにおけるマイクロ金融機関の経営特性について、アジア政経学会(2015年6月)で報告した。カンボジア企業のドル建銀行借入の決定要因について、日本金融学会(2015年10月)で報告した。カンボジアのドル化に果たした銀行の役割について、国際開発学会(2015年11月)で報告した。カンボジアとフィリピンのマイクロ金融機関の経営効率性の比較分析を、国際開発学会(2016年6月開催)で報告することが決まった。 2.東南アジア現地調査:カンボジアの金融機関の経営について、プノンペンで聞取調査と意見交換を行った。 3.政策提言:カンボジア中央銀行とアジア経済研究所の共催セミナー「Dollarization and De-dollarization in ASEAN Latecomers」(2015年12月開催)で、東欧諸国と比較したメコン下流域諸国の銀行行動について報告した。この中で、東欧諸国の銀行が海外ドル資金の仲介を通じてドル化を促進したのに対して、カンボジアの銀行は国内ドル資金の仲介によってドル化を促進していることを指摘し、脱ドル化のための銀行政策の提言を行った。
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