経済理論では自由貿易の利益が示されているにも関わらず、現実社会では様々な貿易制限措置が講じられている。このため、行動経済学的特性も考慮して、人々が輸入自由化に反対する要因について、我が国で1万人を対象とした調査の個人データを主に利用して分析した。 その結果、リスク回避や現状維持バイアスが保護主義への支持に有意な影響を与えていることなどが見出された。この結果は、職業、業種等の標準的な経済変数を制御した後にも確認されており、所得補償等の伝統的な経済対策だけでは輸入自由化への支持が広がらないおそれがあり、個々人の心理的側面に配慮したより広範な対策が求められていることを示唆している。
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