研究課題/領域番号 |
25380286
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
濱田 弘潤 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70323954)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 民営化 / 寡占競争 / 合併規制 / 産業政策 |
研究実績の概要 |
合併規制を分析する際,従来分析されてきた私企業同士の不完全競争市場の枠組みよりも,公企業と私企業が競争する混合寡占市場の枠組みで分析した方が,実際の合併規制の問題を上手く扱える場合がある.このため,競争力を高める合併規制を考察するに当たり,混合寡占市場の下での公企業民営化に伴う社会厚生分析を行った. 当該年度の研究成果として,混合寡占市場における民営化前後の社会厚生比較を行い,企業の生産量選択のタイミングが異なる場合には,多くの場合に民営化が社会厚生を減少させる結論を示した.また混合寡占市場の下での内生的タイミングの再考察を行った.これらの研究実績は日本語論文にまとめ,下記の大学紀要に掲載されている.またこの論文の主要な結論をまとめ,また拡張した内容について,現在学術雑誌への投稿を検討している. 濱田弘潤,李坤麗(2014)「混合寡占市場における民営化前後の社会厚生比較:シュタッケルベルク均衡への拡張」『新潟大学経済論集』Vol.97, No.2014-I,25-44. 濱田弘潤(2015)「混合寡占市場の下での内生的タイミングの再考察」『新潟大学経済論集』Vol.98, No.2014-II, 1-42.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
合併規制改革に関する理論研究のサーベイは,順調に進展している.また研究目的にある3つの研究課題のうち,1の問題解消措置と2の合併規制の国際平準化に関する研究も,概ね順調に進展している.但し1と2のそれぞれについて,規制当局と被規制企業間の情報の非対称性が存在する状況での,最適規制問題についての研究の進展がやや遅れている.一方,効率的な合併を促進する株式公開買付に関する研究が遅れており,研究成果が学術雑誌に掲載されるに至っておらず,この点でやや進捗が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本研究課題の計画期間の最終年であるので,合併規制の課題に関する理論研究を研究論文にまとめ,特に規制当局と被規制企業間の情報の非対称性が存在する状況での最適規制の設計問題を成果としてまとめることに専念する予定である.また研究成果について,国内外の学会・研究会にて積極的に報告し,研究課題について得られた成果を社会に還元すると共に,また学会・研究会でのコメントのフィードバックを通じて,研究成果をブラッシュアップする予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
1. 2014年度冬季に当初申し込んでいた国際経済学会への報告がrejectされたため,国際学会報告に行くことができず,旅費の残りが出てしまったため. 2. 論文の英文校正料が3月末時点で決済できず,4月初旬にずれたため.
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度中に海外での経済学会での論文報告への参加により,海外旅費を使用する計画である.
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