本研究では、輸送ハブ間の国際的競争を分析する基本モデルを構築した。モデルにおいて、各国にある港湾が自国の貨物需要とともに第3国の積み替え貨物を取り扱うと想定する。このモデルに基づいて、競合する輸送ハブを持つ2国が、自国の港湾を民営化するか公営にするかという選択を分析した。その結果、均衡において民営化が選ばれるかどうか、そして民営化が均衡として実現する場合の両国および周辺国の経済厚生を評価した。次に基本モデルを拡張し、輸送規模の経済が存在する場合のハブ港湾運営者間の戦略的投資競争の分析を行った。規模の経済効果が強く働く場合、均衡における各港湾の容量は、最適な水準に比べて過大になることが示された。
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