研究課題/領域番号 |
25380298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松本 秀暢 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (70294262)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際拠点(ハブ)空港 / 国際航空旅客流動 / 国際航空貨物流動 / 都市の国際競争力 / 重力モデル / 新空港開港効果 / 東京国際空港(羽田空港)再国際化 / 国際情報交換(オランダ) |
研究概要 |
平成25年度(1年目)においては、現状分析/基礎研究として、以下の2つの研究目的(IおよびII)について取り組んだ。 I. 我が国における拠点空港の国際競争力の現状把握(現状分析) 研究計画としては、韓国や中国をはじめ、急成長しているアジア主要国際空港との比較の下で、我が国における拠点空港(成田、羽田、関西、中部)の国際競争力について、最新のデータを活用して現状把握を行った。同時に、世界的に進行している航空規制緩和のアジア地域への波及について、その現況を踏まえた上で、経済的相互依存関係が進行している同地域の国際航空政策の見通しについて調査を行った。研究方法としては、平成24年度までに確立した「航空企業/空港の競争力に関する評価手法」を、基本的に活用した。特にソウルをはじめ、周辺諸国にスピル・オーバーしている我が国発の国際航空旅客/貨物、および我が国に相次いで参入している韓国を代表とする外資系LCCについて、それらが我が国の航空企業と空港に与える影響を明らかにした。 II. 羽田の再国際化とLCCの市場参入の定量的評価(基礎研究) 研究計画としては、2010年末の再国際化以降、2013年まで国際線発着枠が段階的に引き上げられる羽田について、その競争的地位に与える影響を定量的に評価した。また、2012年に新規市場参入を果たした国内3LCCについて、それらが我が国の拠点空港における航空ネットワークに与える影響を定量的に評価した。研究方法としては、平成24年度までに開発した「航空旅客の経路選択に関する推計手法」を、基本的に活用した。また、ICAO(国際民間航空機構)、IATA(国際航空運送協会)、ACI(国際空港評議会)から出版されている統計書、およびOfficial Airline Guide flight schedules(OAGデータ)を利用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
航空分野で国際的に評価の高い学会(Air Transport Research Society)で研究成果を発表したこと、そして海外研究者(University of Winnipeg, Canada)の依頼によって、国際的学術研究書籍「Air Transport in the Asia Pacific」の第11章「Effects of Korean air carriers’ network developments on route choice behavior of travelers departing from Japan」を執筆したことは、本研究成果が国際的に高く評価された証左であると判断できる。 ただ、本年度の研究計画は基本的に達成されたといえるが、「II. 羽田の再国際化とLCCの市場参入の定量的評価(基礎研究)」については、同空港における新規路線が継続的に開設され状況が変化していることから、今後も引き続き取り組む必要がある。 以上の理由から、本研究の現在までの達成度は、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、本年度(平成25年度(1年目))の研究成果を発展させ、東京国際空港(羽田)における国際路線ネットワークのさらなる拡張、あるいは我が国で急成長を遂げているローコスト・キャリア(LCC)の影響について引き続き取り組み、我が国における国際拠点空港の競争的地位向上に向けた研究を推進する。 次に、それらの研究成果を踏まえた上で、次年度(平成26年度(2年目))において、航空部門のCO2排出抑制政策について、EUを中心とした世界の動向を踏まえた上で(動向調査)、環境コストを内部化した学際的モデルを開発する(理論研究)。 そして、次々年度(平成27年度(3年目))において、アジア地域における航空ネットワーク形成とハブ空港配置に関して、今後、同地域でも義務付けられると予想される航空部門における地球温暖化対策に関する幾つかのシナリオを想定した実証分析と政策シミュレーションを行った上で(実証研究)、我が国の拠点空港がアジア地域の国際航空輸送ハブとしての競争的地位を回復するための政策を提言する予定である(政策提言)。
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費・謝金として計上していた研究補助(データ入力)、および英語論文校閲について、自分で行ったために次年度使用額が生じた。 次年度には多くのデータ入力の必要性が予想されることから、これらの研究補助等に充当する予定である。
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