国際供給網の発達は、多国籍企業の直接投資により低開発国・地域を工業化に取り込み、所得を向上させる包摂的な貢献をしている。しかし国際供給網の拡大は、国際貿易を確率的なショックに対してより敏感に変動させ、不安定性を高める負の側面を持つ。第1種のショックは、最終需要の変動が、サプライチェーンの川上にたどるにしたがってより大きな変動となって現れるbull-whip効果であり、第2種のショックは国際供給網が多階層化し、地理的に分散することによって、大規模自然災害の影響を受けてサプライチェーンが寸断されてしまうことから生じる。これらは、holdup問題や規模の経済に起因する市場の失敗と関わっている。
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