研究課題
基盤研究(C)
本研究課題は、寡占市場における環境配慮財の開発や環境配慮設計の拡充などの環境R&D投資を主として取りあげる。本研究では,環境R&Dを促進させる競争政策の在り方に焦点を当てつつ,これまで希薄だった領域に研究成果の蓄積を行うことを主要な目的としている。今年度は、クールノー複占市場における環境配慮財の研究開発に際して、既存研究の成果を反映させて、[1]研究開発段階と生産段階の両方で非協力行動をとる場合、[2]研究開発段階では非協力投資を行い、生産段階では協調行動をとる場合、[3]研究開発段階と生産段階の両方で協力行動をとる場合、の3つのシナリオの厚生比較を行った。その結果得られた主要な結果は次のとおりである。企業にとってはシナリオ[3]が望ましいが、財の製品差別化が極めて小さく、かつ技術のスピルオーバー効果が十分大きいときに限りシナリオ[2]が社会的に望ましい。しかし、それらの条件がひとつでも成り立たない場合ではシナリオ[3]が社会的に望ましい。さらに、3つのシナリオの下での消費者余剰の比較も行っている。また、環境R&Dの関連理論として、クールノー複占市場で政府が排出税をコミットするときの投資形態が消費者余剰に与える効果を明らかにしている。さらに、近年拡大する生産工程の国際分業化の分析フレームワークの中に環境投資モデルを組み込んで、越境汚染や国際分業が経済変数に与える効果を考察している。こうした分析は環境配慮財や環境配慮設計の分析を多様な文脈の中で考察するための基礎研究でもある。
2: おおむね順調に進展している
所期の目的に対して、基礎段階および関連研究などおおむね順調に進展し、次年度以降での更なる発展につながる感触を得ている。
所期の計画を進めるにあたって、常に国際的な研究動向にも注視しながら国際的に競争力のある成果が得られるようにしたい。
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Discussion Paper Series, Faculty of Economics, Hiroshima University
巻: 2014-1 ページ: 1-20
巻: 2014-2 ページ: 1-10
IDEC, Hiroshima University, Discussion Paper Series 2
巻: 3-8 ページ: 1-34