研究課題
本研究課題は、寡占市場における環境配慮財の開発や環境配慮設計の拡充などの環境R&Dを主たる研究テーマとしている。また,本研究では,寡占企業の戦略的行動や環境R&Dと市場効率性の観点からの望ましい政策の在り方を検証しつつ,これまで希薄だった領域に成果の蓄積を行うことを目的としている。また、最終年度では、これまでの研究成果を踏まえて、企業の環境分野での社会的責任行動(以下、環境CSR活動)を組み込んだ新しいモデルの構築を行い、企業行動の解析と環境規制の在り方を検討した。具体的には、政府が環境税を課す際のコミットメント能力がない場合に、独占企業が環境投資と生産の2段階において環境CSR活動を行う私的インセンティブが十分にあることを明らかにした。さらに、利潤最大化行動ではなく環境CSR活動を行うことで、結果としての利潤がさらに高まる可能性を明らかにした。これらの結果は、学会発表を行い成果の拡充を図るとともに、既存のイノベーション研究の理論的成果との異同についても分析を行い、国際的に評価されるジャーナルへの投稿準備を進めた。尚、一連の投稿実績の中で、修正要求のあったジャーナルには改訂作業を行ったうえで現在再投稿中である。最終年度の成果を含めこれまでの研究成果は、いわゆる「独占禁止法」やそのガイドラインの立案・運用にあたって不可欠な理論的知見をもたらすものである。こうした成果は引き続き国際的な評価を得るべくジャーナルへの投稿プロセスにおいて改善と精緻化を行う予定である。
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Discussion Paper Series No.2017-1, Faculty of Economics, Hiroshima University
巻: No.2017-1 ページ: 1-15