研究課題/領域番号 |
25380307
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩田 健治 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50261483)
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研究分担者 |
星野 郁 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (30199476)
山口 昌樹 山形大学, 人文学部, 教授 (10375313)
HANADA EVA 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40581856)
高崎 春華 大東文化大学, 経済学部, 助教 (40583026)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | EU(欧州連合) / 銀行同盟 / 資本市場同盟 / 金融同盟 / EMU(経済・通貨同盟) / 最適通貨圏理論 |
研究実績の概要 |
本研究は、諸国民経済の統合の結果成立しつつある「EU金融システム」の問題点を解明し、危機に直面したEUが現在進めている「欧州銀行同盟」の背景と意義について、経済統合論の枠組みの中で把握することを目的としている。 第1に、ユーロ制度改革の中心的課題として2012年末にEU4首脳名で出された「真のEMU(経済・通貨同盟)」の四本柱の一つとして登場した「銀行同盟」については、「単一監督メカニズム(SSM)」が2014年11月に創設され、「単一破綻処理メカニズム(SRM)と破綻処理基金(SRF)」も16年初より基金の積立てが開始され、「調和化された預金保険制度」についても14年5月に破綻時の迅速な払戻し等の修正が行われるなど、概ね当初予定通り制度が整備されたことを確認した。その上で第2に「通貨同盟(=単一通貨)」を維持するために必要な制度として「経済同盟」の他に従来から必要とされてきた「財政同盟」「政治同盟」に加え、なぜ「銀行同盟」が必要とされたのかについて「最適通貨圏理論」の枠組みを用いて解明し、上記の諸制度が単一通貨圏内における非対称的ショックの可能性を低める機能を果たそうとしていることを指摘した。第3に、2015(H27)年度には「真のEMU」を継承する形で、EU5首脳報告「EMUの完成に向けて」が出され、「銀行同盟」に加え「資本市場同盟」が新たに提案され、両者が「金融同盟」の名前で両者が括られることになったことを紹介するとともに、「政府-銀行システムのネクサス型危機」の悪循環を断つためにEMUに加えられた「銀行同盟」と、EU経済の構造改革を通じた投資の底上げと域内経済収斂を主たる目的とする「資本市場同盟」とでは、その目的が大きく相違している点を明らかにした。
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