研究課題/領域番号 |
25380310
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
鎰谷 宏一 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (50368552)
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研究分担者 |
播磨谷 浩三 立命館大学, 経営学部, 教授 (90347732)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 通商政策 / 政治経済学 / 自由貿易協定 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究では、「通商政策を決定する立場にある政治家は通商政策に対して異なった意見や立場を表明するが、そこには地元選挙区や支持団体の利害、それとも自らの思想・信念が反映されているのだろうか?」というテーマについてことを、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に焦点を当て分析することに重点を置いた。さらに各個人の自由貿易協定及び貿易自由化に対する選好の決定要因に関する研究のサーベイ及び研究デザインも行った。
今年度の主な研究成果は以下の2点である。 (1)既存の理論研究のサーベイを行うとともに、国政選挙で勝利することを目指す候補者の自由貿易協定に対するスタンスが、地元選挙区の経済的利害と政治家自身のイデオロギーという要因によって決まるという政治経済学的なモデルを構築した。このモデルによって、国政選挙候補者の自由貿易協定に対するスタンスの決定要因について非常にシンプルな形でとらえることの出来る。 (2)実証分析では、国政選挙の候補者のTPPに対する選好の決定要因の分析を行うつもりである。2012年総選挙における全候補者のTPPの賛否に関するアンケート結果を入手し、イデオロギーや性別や年齢など候補者個人の属性及び所属政党がTPPに対する選好に強い影響をえているということが事前の推計で確認できた。さらに各選挙区の輸入競争財産業と輸出財産業に係わる経済的利害などを示すデータを入手し、整理した。選挙区レベルのデータを利用した実証研究は少ないので、このデータによって理論仮説をより明確に検証できると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実証分析に必要な各選挙区の経済構造に関するデータが膨大なものであったため、データ整理に時間がとられた。また、前回の科研費のテーマに関して執筆した論文やその他の論文を学術雑誌に投稿しており、投稿先から要求されたリヴァイズを行うのに時間が割かれた。さらに、所属大学の校務などに時間がかなり割かれたため、作業の進捗状況に悪影響が出た。また、研究代表者と研究分担者は様々な機会を利用して打ち合わせを行うよう努力したが、十分とはいえなかった。こうした理由のため、研究目的の達成度が、当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在も、前回の科研費のテーマで執筆した別の論文のリヴァイズに取りくんでいる。これをまずは早急に終わらせたい。国政選挙の候補者の自由貿易協定に対するスタンス決定に関する理論モデルは完成しているので、すでに整理し終えた各選挙区のデータを実証分析で用いることが出来るように加工し、実証分析を行い、論文としてまとめたい。さらに、研究代表者と研究分担者は、研究会などの顔を合わすことの出来る様々な機会を利用して打ち合わせを行うよう引き続き努力するとともに、十分な打ち合わせを行い研究の進捗に支障が出ないようしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の使用額が予定を下回った理由として以下の3つの理由が考えられる。 (i)研究分担者は、所属学部の移転などもあって例年よりも校務に時間が割かれたため、研究に十分な時間をとることが難しかったこと、(ii)報告を行う機会を作れなかったうえに、研究代表者と研究分担者が顔を合わす機会をうまく利用して打ち合わせをしたため旅費の出費が嵩まなかったこと、(iii)実証分析が本格化する前だったため、データ分析で利用するコンピューター及びソフトの購入を見合わせたこと。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、複数の論文の英文校正のための費用や実証分析で利用するコンピューター及びソフトの購入に繰り越した助成金を当てることになる。紙媒体のデータの入手、報告、打ち合わせ等で旅費を利用する予定である。
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