研究課題
28年度は以下の研究を行った。①27年度執筆の理論モデルを実証分析した「政府シェア,政府支出・貨幣供給比率と均衡生産量に関する実証分析-需要の異質性に基づく生産決定モデル-」を執筆した。②その後英語に翻訳し,27年度に執筆した理論部分の論文である“Demand Heterogeneity, Non-neutrality of Money and Optimal Share of Government Spending"とともに投稿中である。③現在モデルを2国に拡張し考察中である。本年度中に論文を執筆する予定である。研究期間全体の研究成果①経済統合に関して国家間の金融資産移動を重視する研究を行った。特にユーロ導入国では,統一通貨導入の収斂条件をみたすために,同条件の達成期限が明示された時期以降,経済に構造変化が生じ経常収支均衡を犠牲にして同条件が達成されたことを実証分析にて明らかにした。この考察は後のユーロ導入の複数国で,国際収支問題が発生した要因の一つを示したものとして評価できる。②国家間の資産移動を分析するために通貨を導入したモデルを構築する必要があった。この中で,貨幣の非中立性が成立するモデルを構築したが,この非中立性を発生させるメカニズムは既存の諸研究で指摘されていない新たなものである。金融政策および財政政策の有効性の有無は貨幣の非中立性に依存するため,政府財について複数のケースを想定し議論を深めた。③さらにこのモデルをもとにEU主要国および日本,アメリカ,カナダ,オーストラリアを加えた8カ国のデータによって実証分析を行い,良好な結果を得ている。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件)
Discussion Paper, Institute for Policy Analysis and Social Innovation, University of Hyogo
巻: 97 ページ: 1-18