東アジア地域における経済統合の拡大・深化の過程において、格差収斂と成長とを両立させる方法を理論・実証的に模索することが本研究の主な目的である。分析の主眼は、成長・発展に対する阻害要因の撤廃・軽減や貿易・FDIの進展による経済の開放化の進展が、域内各国の所得、厚生、環境にどのような影響をおよぼすのかに注がれた。分析の結果、阻害要因の撤廃や開放化は必ずしも各国の所得増加や厚生・環境の改善に貢献するとは限らないことが明らかとなった。また、所得増加や環境改善のための条件についても明示した。ただし、格差縮小と成長とを「両立」させるための具体的な政策提言は行えておらず、この点が今後の課題として残された。
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