研究課題/領域番号 |
25380315
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
大住 圭介 福岡女子大学, 文理学部, 教授 (10109621)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | グリーン経済 / 持続的成長 / イノベーション / 地球環境 / 研究開発 |
研究実績の概要 |
(1)(信頼、互恵の規範、個人の間の絆からなる「ネットワーク」から構成される)社会関係資本に関するデータを収集し、社会関係資本と経済成長に関する分析の準備をする。社会関係資本と経済成長に関する概念の整理として、宇沢先生の社会的共通資本に依拠した議論のフレームワークを提示し、中国数量経済学会で講演する。その後、インクルーシブなグリーン経済成長とその持続可能性という視点で議論の再構成を行い、日本応用経済学会の会長就任講演で議論を展開する。中国人民大学の趙国慶教授と「社会関係資本と経済成長」に関する実証分析の可能性について議論し、データの収集に関して協力することになる。 (2)神戸大学の中村教授と金沢大学の池下准教授との共同研究で、(既存の議論を的確に類別している)環境と経済成長に関するAcemoglu et.al(2012)の画期的な論文を詳細に検討し、数理的な議論の拡張の可能性を検討する。Acemogluらの議論が仮定によって過度に制約されていることを明らかにし、それに依拠しない形で展開し、動態的な展開を含む命題を提示し、中国の杭州で開催された中国数量経済学会で発表する。その後、論文を完成させ、国際ジャーナルに投稿する。若干の改定ののち、受理される。 (3)1990年代以降、経済学研究者の間で、議論の数理的厳密性にこだわらない傾向が生じている。数理的言語の表現が届かない対象が存在することは確かであるが、経済成長論の数理的展開では、依然として数理的厳密性は必要である。このことを顧慮して、冊子『経済成長分析の数理』(293ページ)を作成し、研究者に配布する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論的な展開・拡張については、研究成果が国際ジャーナルに受理されており、ほぼ予定通り進展している。実証的なデータと実証分析については、今年度中に、中国人民大学の趙国慶教授と打ち合わせをする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ研究は順調に進展している。理論的な研究で、Acemoglu等の研究は非常に興味深いので、さらなる理論的拡張を模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実証的なデータの収集のために複数回出張の予定であったが、勤務校での公務の都合でできなかった。その代り、理論研究での論文の完成を企図した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度には、グリーン経済成長に関するデータの収集と国際学会での論文報告のために、複数回出張の予定である。そのために旅費として、使用する。
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