研究課題/領域番号 |
25380318
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研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
山澤 成康 跡見学園女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50348166)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 県民経済計算 / 災害の経済学 / 地域経済 / ナウキャスティング |
研究実績の概要 |
都道府県別月次GDPを更新し、更新したデータを使って東日本大震災からの復興状況について分析した。震災の間接的影響は、現実のGDPと震災がなかった場合のGDPとの差によって把握できる。月次GDPにより、県民経済計算よりもかなり早く現状が把握できるが、GDPがなかった場合の仮想データを推計することにより、復興需要も早く把握できる。 月次GDPについては、ロッテルダムで開催されたInternational Insutitute of Forecasters の年次コンファレンスで発表した。2014年度春の日本経済学会では、都道府県別月次GDPを使い被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の復興需要の試算を発表した。発表は、2014年6月27日付け日本経済新聞に「震災分析が本格化」という記事で紹介された。 また、2014年11月には、ワシントンで開催されたAnnual North American Meetings of the Regional Science Association Internationalで震災の被害を測る方法と、東日本大震災の復興需要の大きさについて発表した。 本研究は、年次で発表している県民経済計算をより早く発表するということで、近い将来や近い過去を予測するというナウキャスティングの一種としてとらえることができる。こうした観点から、さまざまな速報の状況について、日本統計協会の『統計』で、「経済データの足の遅さをどう克服するか-統計の速報化と予測の短期化」を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
都道府県別月次GDPを作成し、東日本大震災の復興状況について試算できたので、概ね順調に進展している。国内、海外の学会で発表したが、月次GDPの作成方法について懐疑的な見方はなかった。これらの研究をまとめて海外の査読雑誌に投稿し、修正条付きで受理されている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、月次GDPの精度を上げることと、景気動向の把握などのデータのさらなる応用について検討していきたい。作成方法については、それを詳細に分析した論文を書き、震災の影響については、分析法を深めていきたい。 都道府県別月次GDPの応用法の一つとして景気分析がある。GDPは、水準自体が景気動向を表すわけではない。潜在GDPとの差であるGDPギャップや、景気循環の周期に近い成分だけを取り出して、景気の分析を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文投稿支援サービスを利用しており、サービスを使った投稿原稿の修正などが2015年度までかかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年5月に投稿サービスは完了した。
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備考 |
山澤研究室の中に、「都道府県別月次GDP」のサイトを作成し、研究成果や参考リンクの他、データのダウンロードもできるようにした。
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