研究課題/領域番号 |
25380322
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
後藤 純一 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (70234987)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 外国人労働者 / 少子高齢化 / 看護師・介護士 / EPA |
研究実績の概要 |
本研究は、経済連携協定(EPA)に基づいた、看護・介護分野における外国人労働者(候補者)受入れが、日本およびインドネシアやフィリピンなどの送出国にどのようなインパクトを与えるかに関し、理論的・実証的研究を行おうとするものである。そのため、次の4つの段階に分けた研究スケジュールに基づいて実施している。(第1段階)文献サーベイ、関係者ヒヤリング等を通じての定式化事実(stylized facts)抽出、および本格的な研究の基礎となるデータベースの構築、(第2段階)内外の研究者・実務家と討議をしながらの予備的仮説形成およびそれに対する暫定的検証、(第3段階)CGEモデルを構築しての総合的な理論的・実証的分析、(第4段階)研究成果のまとめと普及、政策提言。 平成27年度には、このうち第3段階および第4段階を中心に研究を実施した。具体的に言えば以下のようになる。まず、EPA看護師・介護士受入れプログラムを含む国際労働力移動が受け入れ国にどのような影響を持つかを検討するため、CGEモデルを構築しての理論的・実証的分析を行って、その結果を英文および和文の研究論文として取りまとめた。このうち「Economic Analysis of Japanese Immigration Policy under Aging Population」と題する英文論文に関しては、2015年11月にアメリカ合衆国ニューオリンズ市で開催されたAnnual Meeting of Southern Economic Associationで報告した。平成27年度の研究で得られた主な知見は、EPA看護師・介護士プログラムは、日本と相手国の良好な国際関係に資することは否定できないが、このプログラムで日本の看護師・介護士不足問題を解決しようとする試みは極めて限定的効果しか持ちえないということである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(第1段階)文献サーベイ、関係者ヒヤリング等を通じての定式化事実(stylized facts)抽出、および本格的な研究の基礎となるデータベースの構築、(第2段階)内外の研究者・実務家と討議をしながらの予備的仮説形成およびそれに対する暫定的検証、(第3段階)CGEモデルを構築しての総合的な理論的・実証的分析、(第4段階)研究成果のまとめと普及、政策提言、という4ステップに基づいて研究を進めているが、当初の予定通り、平成27年度には、第3段階、第4段階をほぼ完成することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間の延長(1年間)が認められたので、平成28年度には、分析結果をより精緻かつ現実への応用性の高い論文としてまとめることにし、あわせて、分析結果をさらに多くの内外の学会・シンポジウム等において広く発表し、社会貢献を行うことにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に予定していた海外出張の一部が平成28年度に変更になったため、次年度に使用する研究費が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
当初の計画に加え、28年度に変更になった国際学会での報告のための旅費等に、次年度使用分を充当する予定である。
|