研究課題
家族内においてなされる様々な意思決定―就労・居住地域の決定、親子の同居・別居の決定、教育投資や仕送りなどの所得移転の決定―と、地域間分業パターンのとの関係を分析した。そして、その結果をもとに、教育や社会保障等に関する政策が、家族内意思決定や地域間分業パターンに与える影響を分析した。均衡として成立し得る地域間分業パターンとしては、「一極集中+地域間の教育水準格差が顕著」な状態と「多極的な都市発展+どの地域も教育水準が高くなる」状態、そして、その中間的な状態等、多種多様な状態があることを示した。そして、期待形成や、採用される政策によって、どのパターンが成立し得るのかを、数値例を用いながら示した。他の国と比較した場合、日本においては東京への極端な一極集中が成立した原因についても、国土の特徴のみならず、期待形成や政策の違いによって、説明し得ることが分かった。さらに、どのようなパターンが望ましいのかを考察した。ハイテク産業がある程度集積することは望ましい一方で、より多くの人が教育投資を行い、ハイテク産業にかかわることも望ましいことを考慮すると、「一極集中+地域間の教育水準格差が顕著」な状態は、集中が過度であり、ある程度多極的な状態へ移行した方が望ましいことが分かった。しかし、一極集中がいちど定着したのちに、多極的な状態へ移行することは簡単ではない。教育政策や社会保障政策によって、望ましい状態へ移行できるのか、可能とすれば具体的にどのようにすれば良いのかを考えていくことは、今後の課題となった。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 謝辞記載あり 2件)
University of California, Irvine, Discussion Paper Series
巻: 2016-17 ページ: -