本研究は、自由貿易圏による「国境効果」の縮小の効果を実証分析するものである。国境効果とは、たとえ関税が撤廃されても、国境を越える取引の取引費用が国内取引に比べて高いままで維持されている現象を指す。 国境効果の計測に、輸入・移入を被説明変数とする伝統的な貿易重力モデルを使用した。その結果、従来研究より小さめの推計結果となったものの、東アジア、NAFTA、EUすべてに国境効果の残存が見られた。また、直接投資が国境効果を抑制していることが推計より示唆される。NAFTA、EUにおける通商制度は、国境効果の縮減に寄与してきたとみられる。
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