研究課題
本研究の目的は、日本の国際競争力を高める直接投資の特性やプロセスを探求することである。まず、日本の製造業企業を対象にしたアンケート調査により、各企業の戦略特性について、防衛型傾向、探索型傾向、分析型傾向を調べ、それぞれの企業の直接投資への姿勢や投資目的を調べた。その結果、探索型傾向が高い企業ほど直接投資に積極的であり、防衛型傾向が高い企業は直接投資に消極的であることがわかった。また、探索型傾向が高い企業は日本・第三国への輸出を目的とする複合型直接投資が多い一方、防衛型傾向が高い企業は現地生産、販売拠点といった垂直型、水平型直接投資が多いことがわかった。日本企業に多い分析型傾向が高い企業は、直接投資姿勢、直接投資目的とも、探索型に追随する形ではあるが、中間的な値を取っている。直接投資に積極的な探索型傾向が強い企業は、その投資決定プロセスにおいて、事前・事後の利益のチェックや投資のタイミングの認識などを行うことは、業績(ROA)にマイナスの影響があることがわかり、企業競争力を高めるためには、従来型の投資決定プロセスとは違うマネージメントが必要であると考えられる。一方、キャッシュフローの予測を行うことは、業績に正の影響があり、企業競争力を高める。また、マクロデータをもちいて、日本の輸出競争力を調べた研究では、比較優位の測定は、日本は中国に次ぐ競争力であるが、技術レベルを示す絶対優位の測定は、日本は中国よりも高くアメリカに次ぐ競争力を持つことが明らかになった。また、本研究は、法政大学比較経済研究所のプロジェクトと連携をしており、契約理論に基づくイノベーションマネジメント、コストマネージメントに基づく開発拠点の海外移転、さらに、為替レートが企業の研究開発投資に与える影響など、異なる研究分野の視点から、企業の直接投資戦略や競争力について分析を深めることができた。
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経済志林
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Asian Economy at the Crossroad: China, India, and ASEAN
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http://www.hosei.ac.jp/ices/