研究課題/領域番号 |
25380337
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
BAAK SaangJoon 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (30339923)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 円の為替レート / ミスアラインメント / ヘテロジーニアスな期待 / 市場参加者の合理性 |
研究実績の概要 |
(1) 円の為替レートの「ミスアラインメント」:BEER(Behavioral equilibrium exchange rate)の方法論を使って、1990年第1四半期から2014年第2四半期までの円の為替レートの「ミスアラインメント」を計測した。日本の重要な貿易相手国である12国(Euro zoneも1国として含まれた)との実質実効為替レートを計算し、日本経済のファンダメンタルズとのミスアラインメントを計測した結果、円の為替レートは2008年の第4四半期から2012年の第4四半期までは均衡値より相当高く評価されていたのが判明した。しかし、アベノミクス政策の以降である2013年の第1四半期から2014年の第2四半期までは均衡値からの深刻なミスアラインメントは見えない。例えば、2011年の第4四半期の場合はミスアラインメントが15.3%にも至ったが、2013年の第1四半期から2014年の第2四半期までのミスアラインメントは-1%から-7%の範囲内であった。 (2)為替レート決定モデルの構築:為替レートを金融資産と仮定し、金融資産価額決定モデルを修正して、為替レート決定モデルを構築する。モデルの中で、合理性の程度が異なる二種類の市場参加者(参加者1と参加者2)を想定(ヘテロジーニアスな期待モデル)。参加者2は参加者1と比べると合理性に制約がある。参加者1は参加者2の存在を知っている。参加者1と参加者2の割合は変動するもので、その動きは為替レートに影響を及ぼす。 (3)論文の発表:今までの研究結果を報告した論文(’Is the yen undervalued?')を’Korea's Economics Conference, Feb. 2015, Seoul, Korea)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2014年度には円の為替レートの「ミスアラインメント」を計って、そのミスアラインメントを説明するための「為替レート決定モデル」を構築した。2015年度にはそのモデルを使って、円の為替レートの「ミスアラインメント」が市場参加者の合理性と関係があるかを判明する。円の為替レートの「ミスアラインメント」を計った論文は学会で発表された。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 円の為替レートの「ミスアラインメント」:2014年度までの研究では1990年第1四半期から2014年第2四半期までのデータを使ったが、その以降も円安が進んだからデータを2014年の第4四半期まで伸ばして、ミスアラインメントを再計算する。その論文を'Comparative Economics'の国際コンファレンス(June 2015, Rome, Italy)で発表する。 (2)2014年度に構築した「為替レート決定モデル」を使って、円の為替レートの「ミスアラインメント」が市場参加者の合理性と関係があるかを判明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
印刷費用が予想より安かった。
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次年度使用額の使用計画 |
印刷費用として使う。
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