研究課題/領域番号 |
25380338
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
加藤 篤行 早稲田大学, アジア太平洋研究科, 助教 (10470064)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 輸出 / 生産性 / マークアップ / 為替レート |
研究実績の概要 |
本研究では、日本企業の輸出に関して、技術的な効率性としての生産性と市場における価格決定力であるマークアップによってどのような違いが現れるかを分析している。これに関して、当該年度には、経済産業省より企業活動基本調査と海外事業活動基本調査の小兵データの使用を認めてもらい、為替レートが企業レベルの輸出に与える影響を推計し、それが生産性やマークアップによって変化するかどうかを計量的に分析した。この分析は、リーマンショック以降の円高局面において見られた輸出と為替レート変動に関する二つの相反する見解について、その妥当性を検証したものである。すなわち、従来の見解である、円高の輸出へのマイナスの影響は非常に大きく、円高の放置が日本企業の輸出に深刻なダメージを与えているというものと、近年見られている見解としての、日本企業は生産ネットワークの構築で為替レート変動に対する柔軟性を高めており、リーマンショック以降の円高の企業レベルの輸出への影響は限定的である、という二つについて、実証的に検証を行ったものである。分析結果によると、企業レベルの輸出は為替レートの変化に対して非常にセンシティブであり、生産性やマークアップの高い企業が、為替レート変動のマイナス効果を打ち消すことは困難であることが示された。この研究については、以下の経済産業研究所のディスカッションペーパーとしてすでに公表されている。 Exprts, Exchange Rates and Productivity: An analysis of the Japanese manufacturing sectors, 16-E-045 また、本研究に関して、研究協力者の研究と合わせて研究報告会を2月末に行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属する研究機関の異動と重なったため、研究成果の公表過程で多少の遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究成果である上述の論文を国際学会で報告し、海外査読誌に投稿することを計画している。また、上述の論文作成過程でまとめたが論文には使用しなかったいくつかの分析結果について、可能であればテクニカルノートなどの形で公表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
データ処理をリサーチアシスタントに依頼する予定であったが、統計法の規定により、申請者本人のみ利用可能であったため、そのための費用が不要になり、一方で、データ処理作業を研究代表者自らが行ったため、作業に時間がかかり、外部での研究報告が年度内に行えなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
国内の研究会、海外の学会で研究成果を積極的に報告し、査読付英文ジャーナルに投稿するために研究資金を使用する予定である。
|