研究課題/領域番号 |
25380341
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
佐土井 有里 名城大学, 経済学部, 教授 (20387757)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | タイ / ミャンマー / 自動車産業 / 技術形成 / 技術伝播 / エンジニアリングハブ |
研究概要 |
本研究は、自動車生産のハブ的拠点を形成しつつあるタイが、いかにして産業競争力を高め、付加価値の高い技術拠点(エンジニアリング・ハブ)へと進化していくのか、更にはASEAN近隣諸国に技術的影響を与えることができるのかについて調査し、技術形成、技術移転、技術伝播の観点から分析することを目的としている。 H25年度の調査として、タイにおける現地調査はタイの政情不安から控え、先行して隣国であるミャンマーにおける現地調査を実施した。ミャンマーは民主化によりようやく外資による産業投資が始まり、現在現状と今後の進展が注目されているタイの隣国である。特に、タイからの投資、影響は強く、自動車産業人材への技術伝播を中心に調査を行った。 H25年度の成果報告として、2013年9月国際学会 ASIALICS 2013 東京にて An Analysis of the Implementation Process of Lean Production System to the Malaysian Automotive Industry というテーマで報告した。また、2013年9月23日に名城大学にてInternational Workshop "technological Capability and Innovation in East Asia"を主宰し、その中で論文"The Strategies of the Japanese Automobile Manufacturers in Thailand under the Raise of Thai Wage System"を報告した。さらには、ミャンマー調査報告を社団法人ESD21主催のシンポジウム(2014年4月3日)にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度は目的達成のために、大きく2点 ① タイ技術者(R&D、生産管理、保全、品質管理)技術形成の進捗度の把握、②タイをエンジニアリング・ハブとして、タイからいかにASEAN近隣国への技術指導・技術波及の実態について調査した。 主な達成点として、まず第一に9月に国際研究会を主宰し、タイ、マレーシアの研究者を招聘し研究内容を確認することができたことである。ここでの初年度の研究状況の確認が、今後の現地調査、方向性に大いに役立つと考える。 また、ミャンマーでは、ミャンマー自動車輸入・販売企業、日系自動車企業、韓国自動車企業の現地責任者に対する訪問・聞き取り調査を実施した。技術人材面で、ミャンマー職業訓練所、ヤンゴン大学、ミャンマーエンジニアリングソサエティ、自動車整備士トレーニングセンターを訪問・聞き取り調査を行った。本調査は、今後タイからの技術伝播がどのように進むかを分析するうえでの初期データとなる重要な調査であり、今後の分析に必要と考える。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度はH25年度に実施できなかったタイ現地調査を実施し、更にはミャンマーへの波及効果の調査を継続実施する。具体的には、1.タイ技術者(R&D,生産管理、保全、品質管理)技術形成の真直度把握。各プロセスの現地化から見た発展段階、人材の現地化から見た発展段階の2方向から調査する。2.タイをエンジニアリング・ハブとして、タイからいかにASEAN近隣国への技術指導・技術波及の実態について調査する。そのためには、ASEANで中進国であるマレーシアと後進国であるミャンマーを引き続き調査する。調査方法としては、タイとの企業間、研修レベルでの人材育成、技術形成の国際分業、技術移転、技術伝播の動きを調査する。 H27年度最終年に向け、集中的に現地データ収集する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
6万円の残額が生じた理由は、図書・資料購入を控え、次年度の海外調査費の充実に使用するためである。 タイ・ミャンマー調査に使用する。
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