研究課題/領域番号 |
25380346
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
本間 聡 東海大学, 政治経済学部, 教授 (70368869)
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研究分担者 |
吉田 裕司 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40309737)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境経済学 / 環境と貿易 / 環境効率 / 地球温暖化 |
研究実績の概要 |
①国際産業連関表を用いて、1995年から2009年までの期間で40ヶ国を対象として、中間財を考慮した、貿易に内在化された汚染排出量を計算することができた。その内容については、次年度(平成27年度)に日本経済学会で報告することが決定している。 ②貿易に内在化された大気汚染物質の排出量に関して150ヶ国の推移を定量的に示した結果をディスカッション・ペーパーにまとめて刊行した。この論文では、貿易データと環境データを結び付けることで、貿易に伴って発生する汚染排出量の推移を規模効果、構造効果、技術効果に分解して示すことができた。 ③二酸化炭素を環境負荷にとった環境効率をData Envelopment Analysisによるアプローチに基づいて評価した論文1本が国際学術雑誌に掲載された。また、二酸化炭素の排出を抑制するためにはエネルギーの利用効率を改善することが不可欠であるが、エネルギー効率に関してData Envelopment Analysisによるアプローチに基づく論文1本とStochastic Frontier によるアプローチに基づく論文2本がそれぞれ国際学術雑誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際産業連関表(World Input Output Database)を用いて、各国の部門別の輸出入を表した行列にレオンチェフ逆行列と排出集約度ベクトルを乗じることで、中間財を考慮した貿易に内在化した汚染排出量を1995年から2009年までの期間で40ヶ国を対象として産出する作業を完了した。その内容は、次年度(平成27年度)の日本経済学会春季大会での報告に向けて論文の執筆はほぼ完了している。また、この結果過程の結果をこれまでのデータベースと接続することによって、分析対象国を40ヶ国から150ヶ国に拡大することを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、40ヶ国を対象として中間財を考慮した、貿易に内在化された汚染排出量の計算が完了している。この結果過程の結果をこれまでのデータベースと接続することによって、150ヶ国に関して中間財を考慮に入れた貿易に内在化された環境汚染を分析することが可能となる。また、一人当たり所得や資本装備率、貿易開放度、貿易収支、民主化指標などの説明変数によって、こうして得られた汚染排出量を説明することで、排出要因を明らかにすることが可能となる。特に重要な点は、汚染排出量が一人当たり所得と正の相関を持っていることが確認できた場合には、低所得国が貿易を通じて高所得国の汚染を「肩代わり」する汚染逃避地仮説が成立する可能性がある点である。 さらに、2008年から京都議定書の第一約束期間がスタートしたことによって、2008年の前後で削減義務を負っている先進国と負っていない発展途上国のそれぞれに関して排出量を比較する。それによって、京都議定書の削減効果を検証することが可能となる。 分析の結果得られた結果については国内外の学会で発表し(確定したものとして6月の日本経済学会で報告予定)、ディスカッション・ペーパーの刊行や学術雑誌への投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に計画していた海外における研究報告を行わなかったために、予算のうち約25万円が未消化となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の新規予算と合算した研究費の使用計画を以下のように行う予定である。研究打ち合わせのために複数回の国内出張が必要となる。研究発表に関しては、国内学会において2回、国際学会において1回の発表を行う。また、学術雑誌への投稿のために、英文校閲料と投稿料が複数の論文に関して必要となる。
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