研究課題/領域番号 |
25380357
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三城 安生 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 研究員 (10547441)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 公共経済学 / 財政競争 / 海外直接投資 / 投資戦略 / 空間競争 |
研究実績の概要 |
本年度は、海外直接投資を行う企業の投資立地に関する選択問題と海外企業の誘致を行う各国政府間の財政競争について、理論的な側面から分析を行った。分析に際し、海外企業を誘致する国での市場構造の違いや、海外資本による既存企業の所有権の役割などを理論モデルへ導入することを試みた。 具体的な研究実績として、次のような分析があげられる。非対称の国内市場規模を持つ2国間で展開される海外直接投資を巡る政策競争に関して、理論モデルの構築を行った。そこでは、海外資本を通じた国内既存企業の所有権が、海外企業の投資立地の選択や海外企業の潜在的な誘致国間で行われる政策競争などについて、どのような影響を与えるのかを明らかにした。分析によって、誘致国の国内既存企業への海外資本の流入は、投資を行う海外企業の立地選択に大きな影響を及ぼすだけでなく、誘致国間の政策競争に対しても影響を与えることが示された。また、誘致国の既存企業に対する海外資本の流入の増加は、投資立地としての誘致国の魅力を高めることにつながることも明らかにされた。この研究成果については、国際的な学術専門誌に掲載を果たすことができた。 この他にも、海外企業を誘致する国の市場構造の違いが企業の立地選択にどのような影響を与えるのか、企業が海外市場へ進出する場合の固定費用は投資立地の選択に大きな影響を与えるのかなどに関心を置いた研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外企業による投資立地の選択と各国政府間で展開される政策競争との関係を分析対象とした本研究において、本年度は海外資本による企業所有の役割に着目した研究を行った。この研究で得られた成果が国際的な学術専門誌に掲載された。また、先行研究の理論モデルの拡張や新たな理論モデルの構築などに取り組むことができた。このような研究の進捗状況から、本年度行った研究の達成度はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においても本研究が関心を置く海外企業による投資立地の選択問題と海外企業を国内へ誘致しようとする各国政府間の財政競争について引き続き分析を行っていく。特に、昨年度の研究から得られている分析結果をより精緻化するとともに、新たな研究成果を得るための分析にも取り組んでいく。分析の方法としては、これまでと同様に、理論モデルを使用することによって研究を推進していく。今後の研究から得られる新たな分析結果は英文の論文としてまとめた上で、主に海外の学術専門誌に投稿し、研究成果を社会に発表していく計画である。
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