わが国では年金財政の安定化のため、年金受給開始年齢を引き上げると同時に、高齢者の雇用確保を行っている。こうした改革は、若壮年の雇用を悪化させる一方、高齢者が長く働くことで健康が維持される効果もあり得る。実証分析から次のことがわかった。第1に、高齢者の雇用確保は新規学卒者の正規職への就職確率を低下させる。さらに高年齢者の雇用確保によって新規学卒者が初職で正規職に就けなかった場合、その後の年収が7-8%程度減少する。第2に、定年退職は高年齢男性の精神的健康を悪化させる。その悪影響は、定年退職から2年以上経過した後で現れる。
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