研究課題/領域番号 |
25380359
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
川地 啓介 三重大学, 人文学部, 准教授 (40455069)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 財政競争 |
研究概要 |
本年度は、本研究の基礎となるモデルを構築することに重点を置いた。当初計画では、政策目標の選択問題を研究課題として、政府による政策目標の選択を明示的に考慮に入れたモデルの構築を行う予定であったが、2年目の研究課題としていた政策手段の選択問題についても平行して研究を進めた。その結果、後者を応用する形で、下記の分析を行った。 伝統的な財政競争理論では、各政府は他の政府とは独立かつ同時に政策手段を選択し、地域間を移動する課税ベースの獲得競争を行うことが想定されてきた。しかしながら、各政府が諸政策について意思決定を行うタイミングは、それ自身が政府の重要な政策手段の1つである。そのため、自地域への資本獲得のために複数の政策手段を有する政府が、そのタイミングを内生的に取り扱うことを明示的に考慮したモデルを構築し、政府によって選択される政策手段のタイミングに着目した分析を行った。その結果、政策手段によって、同時に選択されるものと逐次的に選択されるものがあることが結論として得られた。さらに、意思決定のタイミングが変わることで、伝統的な理論で仮定されてきた政策手段が同時に選択される場合に比して、社会厚生が改善されることが明らかとなった。また、地域間の生産技術の異質性に起因する厚生水準の地域間格差が、意思決定のタイミングによって改善される場合があることも示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、本研究の基礎となるモデルを構築することに注力し、2年目の研究課題としてあげていた政府の選択可能な政策が複数存在するモデルを応用した分析を行うことができた。これによって、来年度以降につながる基礎モデルを構築できたことは、研究遂行の観点から有意義である。そして、得られた研究成果は論文としてまとめられ、国際学会において報告された。本研究を通しての目標の1つとして、国際学会における報告があげられるが、初年度においてそれをクリアすることができた。以上から、研究はおおむね順調に進められていると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、次の二点を重視しながら研究を進める予定である。第一に、本年度に得られた知見の精査である。本年度にまとめた論文をブラッシュアップさせることに取り組み、査読付き学術雑誌に投稿できる水準まで論文を深化させることができれば、国際学術雑誌に投稿することによって、研究内容の評価を受ける予定である。第二に、本年度得られた基礎モデルの活用である。各年度に割り振られた研究課題に基礎モデルを適用させて分析を行うことを試み、新たな研究成果を得ることができれば、その都度、論文としてまとめ学会を通じて報告することを目標とする。
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