研究課題/領域番号 |
25380360
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
梶谷 懐 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (70340916)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中国 / 土地市場 / 長江デルタ / GISデータ / 産業集積 / 地方財政 |
研究実績の概要 |
平成26年度は平成25年度の成果を踏まえ、引き続き中国の地価データの入力とそのGISデータとの統合を行った。2015年2月21日には科研成果の中間報告会として、梶谷懐(神戸大学)「中国の地方政府間競争と土地財政:浙江省の事例より」、石渡文子(東京大学)「ビジネスネットワークが零細企業クラスターの成長に与える効果-エチオピア農村地域における実証分析-」"橋口善浩(アジア経済研究所)"Agglomeration and firm-level productivity: A Bayesian spatial approach"の3報告からなるワークショップを開催した。梶谷自身の報告「中国の地方政府間競争と土地財政:浙江省の事例より」は、地方政府による土地払い下げを通じた企業誘致競争に注目した研究報告である。土地払い下げ価格の空間的自己相関を考慮した以下のspatial lagモデルを使用、工業用地払い下げ価格の決定要因を推定した。その結果、当該地域の地価を決定するような地域の属性値とともに、周辺地域の地価も有意に影響しており、土地払下げの価格競争が存在しているという当初の仮説と整合的な結果が得られた。また、伊藤亜聖氏によるコメントでは、地方政府が土地払い下げの際に企業に補助金を与えていると解釈したほうがよいのではないかなど、さらに実証研究を改善するための有意義な示唆が得られた。また、エチオピア農村地域における産業集積について報告者のフィールドワークに基づく実証研究を行っている石渡文子、中国長江デルタ地域における工業企業のミクロデータを用いて、県レベルの産業集積の形成が企業の生産性にどのような影響を与えているかをベイジアン推計の手法を用いて分析を行った橋口善広の両氏による報告とディスカッションからも、自己の研究を発展させる上で重要な知見を経た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国の地方財政および土地価格データを入力・整理する作業は比較的順調に進んでおり、ミシガン大学のChina Data Centerが提供する中国県レベルのGISデータとの統合、ならびにそれらのデータを用いた初歩的な実証分析の結果を出すことができた。また、研究成果の報告を兼ねたワークショップを開催し、関連する研究分野の研究者との知的交流を図ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、引き続き中国の地方財政および土地価格データを入力・整理する作業を進めると共に、ミシガン大学のChina Data Centerが提供する中国県レベルのGISデータとの統合を完成させる。そして、それらのデータを用いた最終的な実証分析の結果をまとめ、海外のカンファレンスや国内学会での研究報告を積極的に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた中国での現地調査の費用を、他の研究プロジェクトの費用で賄ったため、本研究プロジェクトの予算のうち旅費の使用は大幅に少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は中国の地方財政および土地価格データを入力・整理する作業を行うためRAの雇用を行う。また、ミシガン大学のChina Data Centerが提供するGISデータのデータベース、さらにCIECが提供する各種の統計データのデータベースを使用するための契約を行う。そして、最終的な実証分析の結果をまとめ、海外のカンファレンスや国内学会での研究報告を行うため海外渡航を行う予定である。
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