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2014 年度 実施状況報告書

中長期的影響を考慮した移民受け入れの厚生分析

研究課題

研究課題/領域番号 25380370
研究機関東洋大学

研究代表者

神野 真敏  東洋大学, 経済学部, 助教 (10533648)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワード年金方式の比較 / 移民受け入れの効果 / 介護労働市場
研究実績の概要

本研究は、次世代が負担する同化コストを考慮し未熟練労働者を受け入れた場合の効果を分析したJinno(2011)を拡張し、労働の代替性・補完性、および未熟練労働市場における失業を考慮したモデルの構築、および日本経済に応用したシミュレーション分析を行う。
本年度は、昨年度に引き続き、移民者を受け入れ場合の年金制度の方式(Bismark方式とBeverage方式)による影響の差を分析した。さらに受け入れる労働者に関しても、未熟練・熟練という点に注目して両方式における影響の差について分析を行った。労働者を受け入れることによって保険料収入は増えるものの、次の世代において高齢者となり年金給付を受け取るため、賃金に依存する形で給付を受けられるBismark方式では、熟練労働者の受け入れは、相対的に高賃金の高齢者の増加を意味し、受け入れ国の年金給付の相対的な減少を引き起こす可能性があることが示された。この研究成果は、Singapore Economic Reviewに掲載予定である(査読有)。
また本研究の間接的な研究ではあるが、介護労働市場を明示的に扱い少子化の影響も研究した。介護サービスの様々な分野において機械化が進んではいるものの、依然介護サービスは労働集約的である。そのため、要介護認定者が増え、介護サービスに対する需要が増えるほど、介護労働市場はひっ迫すると考えられる。このような労働量における制約を考慮した状態で、外生的ではあるものの、少子化が改善した場合の効果を分析した。結果として、少子化が改善することによって、その世代の賃金率は低下するものの、一人当たりの介護負担は減少する。そのため、実質的な可処分所得が増加する可能性があり、少子化の改善によって厚生の改善が見込まれることを示した。この研究成果は、Open Journal of Social Sciencesに掲載された(査読有)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究成果は上がっているものの、本来の労働の代替性・補完性、および未熟練労働市場における失業を考慮したモデルの構築、および日本経済に応用したシミュレーション分析ができていない状況にあるため。

今後の研究の推進方策

当初はJinno(2011)を拡張し、Kemnitz(2003)との融合によって労働の代替性・補完性、および失業を明示的に考慮できるモデルを構築し、移民者の受け入れ効果を分析することを考えていた。しかし、現状では明示的な解が得られるようなモデルを構築するに至っていない。そのため、明示的な分析をあきらめ、数値例を用いたシミュレーション分析に切り替えることを考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件)

  • [雑誌論文] Beveridge versus Bismarck Pension Systems: Considering Fertility Rates and Skill Distribution2016

    • 著者名/発表者名
      Yohei Sekiguchi and Masatoshi Jinno
    • 雑誌名

      The Singapore Economic Review

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Increased Fertility Rate Improves House Hold Utility, Despite Reducing the Wage Rate: The Burden of Long-Term Care Services2014

    • 著者名/発表者名
      Masatoshi Jinno
    • 雑誌名

      Journal of Social Sciences

      巻: 2 ページ: 401, 408

    • DOI

      10.4236/jss.2014.26046

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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