研究課題/領域番号 |
25380375
|
研究機関 | 嘉悦大学 |
研究代表者 |
跡田 直澄 嘉悦大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90144641)
|
研究分担者 |
濱田 吉之輔 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10362683)
眞鍋 雅史 嘉悦大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20537071)
西田 喜平次 兵庫医療大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50631652) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 公的病院 / 財務分析 / 因子分析 / 多変量解析 / 医療経済学 |
研究実績の概要 |
今年度は最終年度であり、研究成果のとりまとめを行った。 具体的には、公的病院の特徴や役割を明らかにすべく、民間病院との比較研究を行った。ここから、公立病院では、民間の私立病院に比べ費用面での減価償却等がややその構成比が大きく、設備や機器が民間と比べると過剰であることから、設備投資計画の再点検が必要であるという示唆を得た。また、社会医療法人については、制度創設当初から、わずか3年後の経営力は中小を含む民間病院の平均をも下回る状況に陥っており、公立病院に近いものとなっていることが明らかになった。さらに、地域医療の確保・拡充のためには、供給体制を維持していくための財源が不可欠であり、その中で民間の資金をより効果的に用いる現在発案されている非営利ホールディング会社という発想は非営利組織の運営の効率化・安定化のためには有効な考え方とも評価できる。グループ内利益の再配分における個々の法人の非営利性ないしは公益性との関係を十分に考慮した法人制度の創設は、今後の医療改革においても特に重要であり、注目すべき課題となることが明らかになった。以上の分析結果を取りまとめ、査読付き論文として公表した。 さらに、社会保障制度や医療の現状を包括し、改めて医療における公的部門の役割の検証を行った。ここから、医療全体の方向性として、包括支払制度を拡充し、後期高齢者医療制度を再構築することによって、公的医療給付を抑制するとともに、ジェネリック使用を徹底し、さらに規制緩和と税制優遇などを用いて疾病型民間医療保険の整備・拡充を早急に進める必要性を明らかにした。この成果については、図書(の一章)として出版された。 以上から、複数年度のデータを用いて分析を行うなど、当初の研究計画の一部は実現することができなかったが、一方で公的病院の役割について多面的な評価を与え、当初の研究目的を十分に達成することができた。
|