研究課題/領域番号 |
25380377
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
風神 佐知子 中京大学, 経済学部, 准教授 (00510851)
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研究分担者 |
遠藤 正寛 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (80281872)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域経済政策 / 地域労働市場 / サービス産業 / サービス産業の生産性 |
研究実績の概要 |
27年度は、海外生産の地域別影響から発展し、地域経済に着目した研究およびその成果報告に力を注いだ。第一に、海外生産の影響に差があることは昨年度の研究で明らかにしたが、では、地域経済に差があった場合、地域経済が不利な立場にある住民を対象とした政策はどのような影響があるのか、昨年度の研究をさらに発展させ、かつその成果を日本経済学会、Association for Public Policy Analysis and Management Fall Research Conference(マイアミ)、National tax Association 108th Annual Conference(ボストン)、Southern Economic Association 85th Annual Meetings(ニューオーリンズ)、バーリ大学でのセミナー(イタリア)などで報告を行った。また、Globalization and labor market outcomes EHESS-Keio University conference(パリ)では、海外諸国で分業した生産体制がOECD各国の労働市場へどのような影響を与えるのかを研究したSebastien Miroudotの討論を務めた。 第二に以下を行った。地域経済の大部分はサービス業に依存している。そこで、地域のサービス産業の生産性が上昇することが、地域経済の成長を促す。しかし、サービス産業の多くは地域市場の大きさに依拠しており、地域市場の大きさは、製造業や基幹産業により決まり、かつ、その製造業や基幹産業は海外生産の影響を受けている。そこで、まずは第一段階として、地域のサービス産業の生産性は地域の製造業または基幹産業の付加価値額の大きさの影響を受けているのかの分析をはじめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り分析は進んでおり、その成果報告も順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
取り掛かりはじめている、地域の製造業または基幹産業の付加価値額の大きさが地域のサービス産業の生産性に与える影響についてや、地域の雇用量に与える影響について分析を行う。なぜ影響があるのかのメカニズムについて、これまではサービス産業の需要が増えると競争が激しくなり、低生産性の企業が淘汰されるから、各企業が生産性を上昇させるから、などが唱えられてきた。そこで次に、製造業や基幹産業の付加価値額が大きいところでは、実際にサービス産業の需要額が大きくなっているのか、どのようなメカニズムが働き、生産性を高めているのか、生産性が高いところでは雇用量が増えているのかなどを明らかにする。さらに、海外生産の影響を受けて製造業や基幹産業が衰退したところではサービス業の需要量が減少したり、その結果生産性が低下したりしているのかについて分析する。また、労働者の質の偏りなどについても考慮した分析も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
きちんと請求できず、自己負担分が発生したため、使用額に差が生じた。本年度は気をつけたい。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は気をつけたい。研究期間の終わりに近いため、研究成果報告のため出張や英文校正、場合によっては出版費用などが増えることが予測され、かつ、研究費は応募時点の申請額以下が支給されているので、差額分にそれらを当てる予定である。
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