研究課題/領域番号 |
25380381
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
亀田 啓悟 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (80286608)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非ケインズ効果 / 所得階層別 / 年齢階層別 / 財政政策 / 財政赤字 / 公的債務 / 家計調査 / VAR |
研究実績の概要 |
世代重複モデルを念頭に解釈すれば、非ケインズ効果は若年世代ほど大きく作用するはずである。また、Intertemporal Optimizationを行う家計を念頭に置き、高所得が流動性制約を緩めると考えるならば、非ケインズ効果は高所得家計ほど強く作用するはずである。しかし、年齢階級別や所得階層別データを用いた分析は筆者の知る限り世界的にも存在しない。本研究は総務省『家計調査』を用いて、Perotti (1999)の財政ショックを織り込んだ消費関数(オイラー方程式)を年齢階級別・所得階層別に推計し、この仮説の成否を分析する。 25年度の実施状況報告書に記載したように、26年度は分析手法の再検討を行った。その詳細は以下の「現在までの達成度」の通りであり、現在、事前分析を終え、本推計にかかるべく所得16階級別かつ世帯主年齢10階級別の160本の時系列データを作成中である。その後、Perotti(1999)と同様の分析を実施し、来年度初旬の完成をめざす。 なお、以下にあるように関連研究は順調に進み多くの成果を得ている。特に亀田(2015)では非ケインズ効果を分析できるように拡張したVARを高齢地域・若年地域別に推計し、非ケインズ効果の存在を確認することができた。またIhori and Kameda(2014)では政治プロセスと財政支出の関係についての分析を行い、国際学会での報告を経て海外学術誌に投稿中である。次年度も同様の継続を目指したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・昨年度の実施状況報告者に記載したように、今年度は分析手法の再検討を行った。その結果、1.近年の『家計調査』を用いた先行研究を見ると、同調査対象者の回答期間である6か月間を期間とする調査世帯月次パネルデータを数か月から数年にわたって作成し、ローリングパネル推計を施すべきである、2.しかし、本研究の目的は財政赤字・公的債務の変化が消費に与える影響を数十年にわたって分析することにあるため、この手法を直接利用することは難しい、との結論に至った。そこで、まず、所得16階級別かつ世帯主年齢10階級別で作成した合計160本の時系列データを利用してPerotti(1999)と同様の分析を実施し、その後、もし可能であれば分析対象期間を絞った上で上記ローリングパネル推計を実施することとした。なお、前者に関するデータが若干遅れているものの所得階級別、あるいは世帯主年齢階級別の推計(計16本)は完了しており、来年度初旬にはすべての推計作業が終了する予定である。 ・関連研究は上述の通りいくつかは既に完成しており、学会報告・投稿・出版も済ませている。
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今後の研究の推進方策 |
・上記「現在までの達成度」で記した第1の手法(Perotti(1999)の手法)については、早期の投稿を目指す。 ・上記「現在までの達成度」で記した第2の手法(ローリングパネル推計)を実施するためには、総務省統計局にデータ提供を依頼する必要がある。早期にデータ提供依頼を行い、研究期間中の投稿・出版を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に資料収集の出張を行ったが、当初の予定よりも旅費が少額で済んだため、この部分が次年度使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の資料収集旅費に充当する。
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