研究実績の概要 |
世代重複モデルを念頭に非ケインズ効果の発生メカニズムを解釈すれば、非ケインズ効果は若年世代ほど大きく作用すると考えられる。また、非ケインズ効果はIntertemporal Optimizationを行う家計を通じて生じるため、高所得が流動性制約を緩めるのならば非ケインズ効果は高所得家計ほど大きく作用するはずである。 そこで本研究では総務省『家計調査』の個票データから年齢階級別・所得階級別に地域別Repeated Cross sectionデータを作成し、非ケインズ効果分析でよく利用されるPerotti (1999)のオイラー方程式を推計することにより、この作用の有無の確認を目指してきた。しかし、昨年度の研究から、調査対象が6か月ごとに入れ替わる『家計調査』では、年齢階級・所得階級を細かく分けすぎると、各クラスターデータでの連続性が維持されず、この影響が強く分析結果に作用する可能性が確認された。そこで、総務省統計局に統計法33条に基づく調査票情報の利用申請を行い、個票データに基づく分析を実施した。1981年1月から2013年12月までの384,379世帯、2,306,274の観測値を用いて推計した結果、特に世帯主年齢の面で非ケインズ効果の存在をサポートする分析結果を得た。 これらの分析内容は、イギリスExster大学でのJapanese Public Economics Workshopと、第20回公共選択学会全国大会で報告済であり,近日中に学術誌に投稿する予定である。
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