研究実績の概要 |
「Close-out価格にカウンターパーティーリスクを織り込んだ信用リスク調整(CVA)の計算方法」の研究の一環として、後ろ向き確率微分方程式(以下、BSDE)の漸近展開法及びその基礎理論の研究、それらの具体的問題に対する応用の研究を行った。この関連で専門誌に掲載された論文としては、Takahashi-Yamada (2014), Kato-Takahashi-Yamada (2014),Fujii-Takahashi(2014), Fujii-Sato-Takahashi (2014), Fujii-Takahashi (2015)が挙げられる。特に、Takahashi-Yamada (2014)では、BSDEの漸近展開法への適用を視野に入れ、オプション価格とグリークスに対する漸近展開による数値近似の精緻な理論的誤差評価を与えた。この結果、オペレーションズリサーチ分野の数理的専門誌、``Mathematics of Operations Research"に掲載された。(Published Online: November 7, 2014, Volume: 40, Issue: 2, primary article) その後、この手法のさらなる発展・応用を研究している。 また、「デリバティブ間のモデルによらない相互依存関係」の研究としては、Takahashi - Tsuzuki (2014)において、無裁定(no arbitrage)を保証する密度関数の補正方法を考案した。特に、無裁定が成り立つとは限らない密度関数の近似法に対して、その近似を基礎として、無裁定を保証するように密度関数を修正する手法を開発した。尚、この計算方法自体はモデルには依存しない一般的な手法である。
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