研究課題
今年度は、国債のリスクプレミアムに対して、国債のスポットレートから計算されるフォワードレートにより構成されるファクターが説明力を持つかどうかに関する分析を行った。リーマンショックなどの影響を考慮して、1981年から2007年までのデータを用いて分析したところ、フォワードレートから構成されるファクターは、1年から5年までの満期の国債のリスクプレミアムに対して有効な説明力を持っていることが明らかにされた。また、先行研究同様に、フォワードレートから構成されるファクターと国債と同じ満期のフォワードレートと短期金利の差であるフォワードスプレッドとの間で説明力を比較したところ、フォワードレートファクターがより有効な説明力を持つことも明らかにされた。そこで、フォワードレートファクターから構成される確率割引因子により、資産価格決定モデルの枠組みでGMM推定したところ、確率割引因子の有効性を示す結果が得られた。以上の実証結果は、先行研究において米国のデータにより得られたものと同様である。このことは、日米で国債の保有主体は大きく異なっているものの、リスクプレミアムの決定要因は日米で大きく異なってはいないことを示している。また、債券リスクプレミアムに関する研究と並行して、株式リスクプレミアムに関する研究も行った。株価純資産倍率の低いバリュー株式とその比率の高いグロース株式では、前者の株式リターンが高いことが知られており、バリュープレミアムと呼ばれている。日本のデータを用いて、このプレミアムと、企業のキャッシュフローのタイミングの違いを示す株式デュレーションと呼ばれる指標との関係を分析し、関連を支持する結果を得た。
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Journal of International Financial Markets, Institutions and Money
巻: 39 ページ: 102-121
10.1016/j.intfin.2015.05.007