研究課題/領域番号 |
25380398
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
丸山 宏 横浜市立大学, その他の研究科, 教授 (30181837)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 会社更生 / 企業買収 |
研究概要 |
会社更生・企業買収データベースの作成作業と計量分析のための理論的フレームワークの構築を行った。会社更生については、私独自の方法で官報公告から逐次、会社更生事件のデータを収集し、裁判所決定の月日、認可された会社更生計画の基本情報を抽出し、データベースを作成した。本年の6月末までを、当面の分析対象期間とする予定である。企業買収データは、情報会社2社のデータを購入し、編集して会社更生データベースとリンクさせる作業を行った。計量分析のための理論的フレームワークについて、2000年代に入ってから、それ以前の更生会社の収益による長期間にわたる債務弁済方式から、会社更生のスポンサーによる一括弁済へと弁済方式の主流が変化したことから、従来の弁済計画期間内の弁済完了をもって会社更生の「成功」と定義することの意義が薄れたため、会社更生の成否について新しい分類基準の検討を行った。法手続き上、終結の決定がなされていても、その後の企業経営は、経済的には成功とは言えないケースも少なくない。そのため、①更生計画の(債権者に不利な)変更のケース、②更生手続きが廃止されたケース、③再度、倒産処理手続きに入ったケース、という裁判所決定で判断できるものに加え、手続き終了後の経営実態で成否の判断をすることとし、④会社更生手続き終結後の決算赤字計上のケース、⑤2次売却のケース、⑥親会社による清算のケースを、会社更生の失敗として分類する方式を考案した。以上のデータベースと成否分類基準を利用し、本年度は、会社更生に影響を与えた要因の計量的分析を、計量経済学の手法を用いて検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り進めることができている。分析対象の開始時期を、1998年-2000年のどこに定めるか、また終了期間を2012年、2013年のどちらにするか、先験的には判断しがたいため、期間区分は数通り想定している。ただし、作業量としては、大きな変化はないので、ほぼ予定通りの進捗状況であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、会社更生の成否に影響を与えた要因の計量的分析を、計量経済学の手法を用いて検討する。具体的には、①成否を被説明変数とし、債務弁済率とその他のコントロール変数を説明変数とするロジット分析を行い、弁済率が適切に決定されているのか否かを検討する。②救済すべき企業とすべきでない企業の選別が適切に行われているか否かを、ヘックマンの二段階推定法を用いて検討する。海外主要学術誌への投稿を行う。 以上の実証分析に基づき、会社更生法を中心とする、わが国の企業倒産処理法制に政策的提言をすることが最終年度へ向けての課題である。
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