研究課題/領域番号 |
25380398
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
丸山 宏 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (30181837)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 会社更生 / 民事再生 / 再建スポンサー / 弁済率 / M&A |
研究実績の概要 |
1990年代後半から急増し、現在では主流となった会社更生スポンサー(企業および投資ファンド)による更生債務の一括弁済型、言い換えれば企業買収型の会社更生に焦点を当てた計量的分析を行い、現在の会社更生制度の効率性を検討することを主目的として研究を開始した。同時に、再生企業と清算企業のスクリーニング機能の視点から、1990年代半ばまで原則的方式であった収益弁済型の会社更生と現在の主流である一括弁済型との比較分析を行い、企業再生制度の中心的存在である会社更生法による企業再生の有効性の検証も目的であった。 研究を進める中で、 ①連結財務諸表中の連結キャッシュフロー注記に記載された買収企業対価、とくに「のれん」(goodwill)データの利用 ②法的整理として、会社更生に加え、民事再生も追加 するという当初計画の変更を行った。 2002年-2014年の期間を分析対象とし、M&Aの事例把握については、M&Aの時系列基礎データであるレコフデータのM&Aデータベースを利用した。最終的には、上場企業によって買収された破たん企業(法的整理企業)115社、未上場企業(ファンド等を含む)によって買収された155社を基本的な分析対象とした。会社更生企業36社については、官報公告掲載の会社更生計画より収集した弁済率等の条件、更生手続きの開始、計画認可、終結の月日をデータとして追加した。上場会社による買収のケースについては、買収後、被買収企業が保有され続けているか、または売却、清算されているかを個別に確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析対象を、会社更生企業から民事再生企業も含む法的整理全般に拡大した。 また、当初計画では、産業小分類レベルの成長率を、再建の効率性の代理変数として利用することを想定していたが、分析期間中の産業分類の継続性、個別企業の産業小分類の客観性等、多くの問題点があり、別の分析方法を探すこととした。そのため、研究に遅れが生じたが、他方で、連結財務諸表中の連結キャッシュフロー計算書注記にある買収対価の「のれん」データの本研究の分析への利用価値を見出すことができた。また、買収された破たん企業の、買収後の状況を確実に追跡することの重要性も確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
2002年-2014年の期間について、 ①上場企業による法的整理企業買収と未上場企業による法的整理企業の買収の比較 ②買収型の会社更生企業とスポンサー無しの自力型買収との比較 ③すでに作成済みの1990年-2001年の会社更生との比較 を具体的なテーマとして研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
M&Aデータベースを、一昨年度より、10月から翌年9月の期間で利用契約していたため、2016年4月-9月の利用契約料を2015年度基金で支払うことができず、その支出分を2016年度に利用するため、計画期間を延長した。
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次年度使用額の使用計画 |
M&Aデータベースの2016年4月-9月の利用契約料金 216,000円 論文英文校正料 150,000円
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