研究課題/領域番号 |
25380399
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
村上 恵子 県立広島大学, 経営情報学部, 准教授 (90325142)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 確定拠出年金 |
研究概要 |
本研究の目的は企業年金2法が成立した2001年以降に各種企業年金制度を導入あるいは廃止した企業の特徴を明らかにすることであり、平成25年度は分析に必要なデータ(主に上場企業のデータ)の構築を計画していた。 平成25年度の研究実績は、(1)NEEDS財務データベースから企業財務データと年金財務データ、(2)NEEDS財務データベースと有価証券報告書から企業の基本データ、(3)雑誌『年金情報』と厚生労働省発表資料から各企業が導入している企業年金制度の種類と導入時期に関するデータを、それぞれ抽出したことである。 また、入手したデータを用いて試み的に分析を行い、その成果を、研究協力者である西田小百合氏との共著として「確定拠出年金導入企業の行動に関する分析」というテーマで、生活経済学会中国・四国部会(開催日時:2013 年11 月23 日(土)、開催場所:広島大学東千田キャンパス)にて報告した。この報告内容は、『東海大学紀要 政治経済学部』第46号(2014年9月発行予定)にて「Company Characteristics and Adoption of Defined-Contribution Pension Plans in Japan」というタイトルで発表する予定である。 これらの研究では、確定拠出年金制度(DC)発展段階によって上場企業がDCを導入する要因が異なるのかを実証的に分析し、上場企業のDC導入要因は制度発展段階によって異なる可能性があることを明らかにした。具体的には、DC導入期(2001年10月~2004年7月)は従業員数が多い企業がDCを導入、DC普及期(2004年8月~2007年8月)は積立不足率が高い企業ほどDCを導入、DC見直し期(200年9月~2011年7月)は従業員数が少ない企業ほどDCを導入したことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は分析に必要なデータ(上場企業データ)の構築を計画していた。現在までの達成度については、有価証券報告書から抽出する予定である企業の基本データに一部入力が完了しなかったものがある点において計画に遅れが出ている。しかし、本来は平成26年度以降に行う予定であった入手したデータを用いた分析を平成25年度中に行い、その成果を生活経済学会中国・四国部会と『東海大学紀要 政治経済学部』第46号(2014年9月発行予定)にて発表した点では、当初の計画以上に研究が進んでいる。 入力が完了しなかったデータについては、現在入力を進めており、近日中に入力が完了する予定であること、そして試み的な分析とは言え、今後、分析の仮説を立てる上でヒントとなり得る「上場企業のDC導入要因は制度発展段階によって異なる可能性があること」を明らかにしたことから、計画はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
残されている上場企業のデータ入力を早急に進め、当初の交付申請書に記載した通り、上場企業について、導入している企業年金制度別の特徴を実証的に明らかにする。また、非上場企業のデータ入力も継続する。 研究計画に変更はなく、当初の計画通り、各上場企業の導入企業年金制度別の特徴を実証的に明らかにするための分析を、(1)基本統計量を詳細に観察することによって、各種企業年金制度を導入している我が国の上場企業の特徴に関する仮説を構築する、(2)Probitモデルや数量化などの手法を用いて仮説を検証する形で各種企業年金制度導入企業の特徴を明らかにする、という手順で行う。
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