平均寿命の増加は,介護状態に陥る可能性の増大を伴う.我が国を始め高齢化を迎えている諸国では,いわゆる「長寿リスク」に加え「介護リスク」に直面している.介護リスクを考察する上で,死亡率がいかに健康状態(要介護度)と関連するかを把握することが重要となる.しかし,関連するデータの欠如によって,死亡率と健康状態のダイナミックな関係に関する研究は乏しい.本研究では,要介護状態別の死亡数データは欠如しているという想定の下で,要介護状態に応じた死亡率を予測する新たなモデルを提案し,ベイズ法による予測の枠組みを構築した.この手法を我が国の介護年金制度のデータに適用し,要介護状態別の死亡率の予測を行った.
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