研究課題/領域番号 |
25380404
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
海蔵寺 大成 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10265960)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バブル / バブル崩壊 / 金融経済学 / ファイナンス / 経済物理学 |
研究概要 |
本務校から特別研究期間を取得し、2013年12月から2014年2月までUniversity of James I (スペイン、カスティリョン)の経済学部に客員教授として滞在し、今研究課題の研究,特に、株式市場のバブルに関する理論モデルの構築,を行った。株式市場のバブルのメカニズムに加えて、暗号通貨として注目を集めているBitcoinのバブルのメカニズムについても研究した。Bitocion のバブルに関しては、Cheoljun Eom (釜山国立大学)、Enrico Scalas (Uinversity of Sussex)と共同研究を始めた。2014年初めに英国の学術出版社 Routledge と本研究課題をテーマにした学術書の出版契約を正式に結んだ。 著者: Taisei Kaizoji; タイトル:A theory of speculative bubbles and crashes; 出版予定日:2014年1月。相転移点の推計については、新たに、逆イジング問題として相転移点(バブルの崩壊が起きる時点)を推計するアイディアを思いつき、現在研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の株式市場のバブルに関しては、理論モデルの構築はほぼ予定通り進んでおり、研究実績で述べた出版予定の書籍のいくつかの章として執筆を進めている。相転移点の推計に関して、従来の方法に加え、モデルを逆イジング問題として再定式化し、推計する方法を新たに研究し始めた。この方法を応用するメリットは、次のとおりである。本研究課題の理論モデルを実際に株式市場で起きるバブルの崩壊の予想に応用する場合の難点は、モデルのパラメーターが、投資家の集団心理を反映している点である。つまり、人の集団心理の動きをどのように定量化するかが、大きな課題になる。逆イジング問題は、モデルの結果(本研究課題の場合、株価の共変動など)から、モデルのパラメーターを推計する方法を提案しており、モデルパラメーターの推計が集団心理を定式化することなく、推計できる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
理論モデルに関しては、予定に従いモデルの拡張と他の金融市場への拡張を試みる予定である。具体的には、為替市場における通貨危機のメカニズムを株式市場のモデルを応用して、開発する予定である。実証研究に関しては、逆イジングモデルを用いた相転移点の推計方法についてさらに研究する予定である。バブルとバブル崩壊に関する研究内容を上記の出版予定の書籍として執筆することも合わせて行いたい。
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