本研究では銀行と企業のリスク・テイクの決定要因ついて検証を行ってきた。第一に、銀行リスクとヘッジ目的のデリバティブ利用に非線形関係があることを実証的に確認し、長期の国債を保有する銀行ほど金利スワップなどのデリバティブ需要が高いことも分かった。第二に、企業のリスク・テイクについては、リスク情報開示と企業リスクの関係について検証を行った。分析結果より、リスク情報開示が多いほど企業リスクは高いことが実証的に確認され、リスク情報の有用性を示唆する結果であった。第三に、ストック・オプション導入と決定要因を検証し、ストック・オプション導入が業界の横並び行動として行われていることを示唆する実証結果を得た。
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