先端的な経済理論をふまえると、わが国に米の先物市場を導入することは消費者、生産者および米の関連ビジネスにとって有益である。先物取引の導入が常にパレ-ト改善機能を持つとは限らないが、リスク管理を含めた取引費用を削減することは明らかである。しかし、現物価格が政府の管理下にある状況で、本来の先物市場が持つ機能が発揮できるか否かについては、さらに理論的に厳密な検討が必要である。一方、現在の経済生活に必要なほとんどの資源や財が、先物市場において価格形成されていることを重視する必要がある。従って、わが国の米先物市場はこれからいかなるデザインで、世界のデリバティブ市場に対応していくかを考えるべきであろう。
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