地域金融機関のビジネスモデルの違いを店舗戦略から捉え、店舗数に基づく競争度の指標が地域経済にどのような影響を与えているのかについて、市区町村データに基づいて、実証的な検証を行った。本研究では、地域経済の景況を反映する指標として、事業所数の開業率と廃業率を採用した。分析対象の時期や地域の違いによる細かな相違はあるものの、競争度の高さは開業率の高さや廃業率の低さに結び付かないことが確かめられた。これらの結果は、情報生産活動に基づくリレーションシップバンキングの効果を肯定的に評価する先行研究と整合的であり、競争度の低い市町村に店舗を構える地域金融機関の存在意義を示唆しているといえる。
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