本研究では、日米欧の化粧品・トイレタリー産業、特に花王、マンダム、P&G,ユニリーバの4社を対象とし、そのアジア市場進出の歴史や新興国市場戦略の比較研究を行った。研究の結果得られた発見として、第一に、欧米両企業は、これまでのアジアでの失敗を含めた経験を活かし、近代的流通だけでなく、現地の卸店や中小小売店との良好な関係構築を重視しており、かつての日本的流通の換骨奪胎とも言うべき政策を取っている。第二に、その結果、各社の新興国市場戦略は各社の本国での歴史的経緯により当初は多様であったが、2000年代以降、むしろ共通性が強くなっている。
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