平成29年度は、研究の最終年度であるが、これまでの研究計画を継続し、モンゴル国立中央文書館において収集した財務省文書(主として土地関係文書)や、定期刊行物の分析を継続し、主に研究成果の公表に努めた。また、関連する日本語文献や漢語文献を購入し、併せて研究に用いた。 実績の概要は以下の通りである。第一に、20世紀初頭、すなわち清末からボグド・ハーン期における土地政策の流れ、外国人(漢人・ロシア人)の移住について検討し、8月末にモンゴル国アカデミーにおける国際会議において報告した。さらにこのときの報告内容を論文としてまとめ、公表することができた。また同時にハルハ・モンゴル国における漢人移民に関しても考察を進め、その漢人移民のルーツ等を検討した。 第二に、ハルハ・モンゴル国と比較するために、内モンゴル地域における開墾と小作契約の文書についても検討し、それぞれの土地契約文書の類似性や特色などを検討した。これによって、ハルハ・モンゴルにおける初期の漢人移民の契約形態や、旗(モンゴル)側の対応、そして清朝時代の慣習との連続制などを考察することができた。 第三に、図書館等において、ハルハにおいて20世紀初頭に刊行された法令集の収集につとめた。当時の法令集の体系は不明な点が多々残されるが、調査の結果、ある程度まで土地政策関連の法令を把握することができた。これ以外に、引き続き上下議会文書の分析も進めつつあるが、今後成果の公表に努める計画である。
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